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Gregor Hohpe氏,企業システムのアーキテクチャを語る

原文(投稿日:2014/11/10)へのリンク

アーキテクチャとはすなわち構造と関連性である,事態を大局的に眺めて,その先を考え,決断を下すことだ - Gregor Hohpe氏は,先のGOTO Berlinカンファレンスで行ったプレゼンテーションの中で,自身のIT業界での経験について,コンサルティング,ソフトウェア開発,そして現在の大規模企業ITの3つの角度から,このように説明した。

画期的な書である“Enterprise Integration Patterns”の著者のひとりである氏にとって,アーキテクチャの定義とは,すべての構成要素の正確な定義を見出すことではなく,品質を定義する特性を見つけ出すことなのだ。氏の考えるキーポイントは意思決定である。中でも特に,なぜそのアーキテクチャを選んだのかといったような,今日の決定を明日変えられるようなものではない意思決定だ。これまでに氏は,ユーザインターフェースとビジネスロジック,そしてデータベースを揃えた汎用的な技術モデルと同程度の,アーキテクチャとは呼べないと氏が考えるような,相当な数のアーキテクチャを見てきた。それらに欠けているのは,ストーリやコンテキスト,そのコンテキストによって駆動される意図的な決断だ。

アーキテクチャとして活動する上で,すべての事を知ってすべてをコントロールしようとするのは,無駄な努力である。氏は自身の役割を,もっと庭師に近いものと見ている。庭の木は自分で育つのだから,庭師はそれを刈って形を作り,荒廃や混乱を避けるために全体を見ていればよいのだ。さらには,ツアーガイドにも例えている。経験豊富なツアーガイドは興味深いところを示し,その他にまつわる話をして,穏やかにガイドしながら,他の人たちにエクスペリエンスを伝えていくのだ。

大企業で働く氏にとってアーキテクチャとは,目標は何か,何が重要かということだ。これをもとに氏は,まだ実施されていないものという意味での戦略を選択する。IT戦略を例にとるならば,すべてを一度に行うことはできない。いくつか残しながら,最も重要な部分に集中しなければならないのだ。

事をなす上でコミュニケーションが大きな位置を占めるような大規模な組織の中では,その構造を簡単に取り除くことは不可能だ。さまざまなレベルの人々との直接的なコンタクトが可能なレイヤをいくつかも通り抜けることで,アーキテクトが重要な役割を果たすことができるとGregorが考えているのは,まさにこの点なのだ。氏はこれを“アーキテクトエレベータ”と呼んでいる。役員室まで昇ったり,最下階のIT部門まで降りたりするには,技術的なスキルだけではなく,コミュニケーションスキルも必要となる。アーキテクトにとって最も重要なのは,自分がどの階にいるかではない。どれだけ多くのレベルに自分が行くことができるのか,ということに価値があるのだ。エレベータのリスクは,多くの人がひとつの方向,すなわち上に向かうエレベータにだけ乗ることにある。エレベータで重要なのは,それが上下に移動可能であることなのだ。

大規模組織のさまざまなレベルで従事するアーキテクトは等しく重要である,と氏は考えている。比較的高い位置でエンタープライズアーキテクトとして従事するには,さまざまな国や規則,技術や遺産といった,扱わなければならないものが数多く存在する。これは,より技術的な部分に従事する人たちと同じように難しく,要求の厳しいものだ。

ThoughtworksとGoogleで長年を過ごした氏は,現在はAllianz SEのチーフアーキテクトの職にある。

GOTO Berlin Conference 2014は,ベルリンで行われる2回目のGOTOカンファレンスである。550人が参加し,80人が講演を行う。

 

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