OnAgile2016で「アジャイルプロジェクトからプログラムへの拡張: 自立や協調、探査のスモールワールドネットワーク」と題したプレゼンテーションでJohanna Rothman 氏は、既にある組織内のスモールワールドネットワークを、変革やコミュニケーション、統合に活用することを観客に促した。さらに、これらのスモールネットワークを強化する様々な方法が、大きなプログラムの機能性を実現するプロセスの向上になると述べた。
アジャイル・リーンプログラムマネジメント:組織横断コラボレーションの拡張(原題 Agile and Lean Program Management: Scaling Collaboration Across the Organization) の著者であるRothman氏は大部分の組織は非公式なネットワークを持っており、たびたび噂の拡散に使われるが、そのネットワークは組織のニーズをサポートする有効な手段ともなり得ると述べた。ネットワークはコミュニティー間の計画や協調実施に活用されることで、プロジェクト成功へ貢献できる。
Rothman氏は「大事を行うには、小事を考えよ」と述べた。さらにアジャイル実施で使われている小さなチームベースのプロセスの多くは、より大きなプログラムでも同様にうまく作用すると述べた。機能やストーリーを一定間隔に動かすことは、プロジェクトのリスクに係る情報をより透過的に、より頻繁に伝達することを可能にする。1日もしくは2日以内で小さな成果を出しつつ2週間もしくはそれ以下の日数でのイテレーションを進めることは、チームが頻繁に仕事のフィードバックを受けることを可能にする。機能の納入を積み木と捉え測定することは、プログラム完成までの進捗をビジネスと技術の両方の観点から確認するのに有効だ。
Rothman氏が推奨するプログラムをマネージする一つの方法は、ローリングウェーブ計画、つまり短期計画を頻繁に検討し、これらの短いタイムフレームを約3ヶ月のより長い展望へ組み上げることである。毎月の内部成果物は四半期リリースの提供(あるいは生産段階のエリア)に役立つ。それぞれの内部成果物から計画を更新することは、各々が変化と障害を認識し続けることにつながる。大きなプログラムでは、2つ3つのチームというよりも、相互依存性を管理する委員会のようなものがロードマップを計画することもある。
さらに、Rothman氏は流動的に設計を進化させる方法を推奨した。開発前の「最も責任が重い時期」に設計の草案を用意することは、動作する構造を特定することを試みるより有用であると言及した。ソフトウェアは頻繁に進化するので、Rothman氏はチームが設計の助言を受けることを推奨した。
プログラムをマネージする一環として、大きなプログラムを生み出すために2つの主なチーム、コアチームとテクニカルプログラムチームを作ることをRothman氏は推奨した。コアチームはプログラム(技術や人的リソース、法務、マーケティングなど)に影響を与える、会社の全てのエリアを横断する作業を調整するために編成される。このチームは組織を横断してプログラムがビジネス価値を持つように誘導する。テクニカルプログラムチームはリスクアセスメントや問題対処、組織の技術面での変革を見出すことを目的としている。このチームはプログラムアーキテクチャとソフトウェアプログラムマネジメント、プログラムプロダクトオーナーを代表する三者によって率いられることで効果を発揮する。
Rothman氏はプレゼンテーションの最後にいくつかのアドバイスを述べた。第一に、どの惰性がプログラムをブロックしているのか把握すること。第二に、実現可能なモメンタムを醸成すること。最後に、あらゆるプログラムの成功はコラボレーション(既にそこにあるスモールネットワークを使って、無駄のない明確なビジョンを保ったロードマップをもって進捗を誘導する)次第であること。
Rate this Article
- Editor Review
- Chief Editor Action