Microsoft は新しいマネージドな Kubernetes サービスである "Azure Container Service (AKS)" をプレビューリリースした。同サービスは Kubernetes、Mesos DC/OS、Docker Swarm をサポートした既存の ACS とは別れた製品だ。AKS は Azure にホストされたコントロールパネル、自動アップグレード、自己回復、設定可能なスケーリング、"開発者とクラスタ運用者の両方へ単純なユーザエクスペリエンス"の機能を提供する。実行時に AKS はデフォルトで最新の安定版である Kubernetes 1.7.7 を利用し、利用者は個別に選択することで新しい 1.8 betaを利用することもできる。
Azure ブログでの AKS アナウンスの投稿にて、Microsoft の Principal Program Manager of Containers である Gabe Monroy は現在の Azure Container Service (ACS) における Kubernetes のサポートは過去 6 か月で 300% 成長しており、新しい AKS が"移植性の犠牲なしに Kubernetes を簡単に管理可能とする"ことを約束すると述べている。既存の ACS サービスは 2015 年より利用可能であり、Kubernetes、Mesos DC/OS、Docker Swarm といった複数のオーケストレータのサポートを提供している。Monroy は "[Kubernetes] がオープンソースにおけるコンテナオーケストレーションの標準として浮上している"こと"Kubernetes の独特なコミュニティの巻き込み方とポータビリティがオーケストレータの標準として理想的な点"を議論している。
マネージドコンテナに対するオーケストレーションのプラットフォームとして、Azure が Kubernetes に対し排他的に注力することはコミュニティ内で複数の議論の引き金となっており、何人かのユーザは ACS と AKS の間の関係に疑問を呈している。 Azure Container Service の Product Manager である Saurya Das 氏は ACS と AKS は当分の間共存し、ACS は一般リリース(GA)だが AKS はプレビューであることを返答している。ACS は非推奨ではなく、Das 氏は常に利用可能な Azure マーケットプレースを通してのみ DC/OS と Swarm を利用可能にすることを検討している。
AKS 自身の利用は無料だが、VM の様な配下で実行されるコンピュートリソースのコストは例外だ。これは Kubernetes に管理される Google's GKE と対照的であり、Google's GKE は配下で実行されるコンピュートリソースに加えて 6+ ノードクラスタの管理コストとして 1 時間あたり $0.15 課金される。AKS のリリースブログでは Monroy 氏がこの課金モデルが永続的であることを述べている。
インフラ管理に時間課金が必要な他のクラウドプロバイダとは異なり、常に AKS は利用者が Kubernetes クラスタの管理に何も支払う必要はない。
AKS はプレビューサービスとして発表され現時点で特に課題はないが Kubernetes ダッシュ―ボードはまだ利用不可であり(kubectl ポートフォワードを介した"az aks browse" の利用を除く)、いくつかの問題がService Principle permissions on Resource Groupsに残されている。さらに興味深いのが現時点では Windows Desktop を用いた AKS クラスタのデプロイが利用できず、同環境で PowerShell コマンド"get-credentials"が必要であるが同コマンドがサポートされないという問題がある。加えて、Windows Server Containersは現時点で非サポートであり、AKS はいくつかの主要 Kubernetes コンポーネントが Linux ホスト上で動くという事実がある。
AKS の発表に加え、更に Microsoft は彼らのコンテナイメージのストレージであるAzure Container Registry (ACR)におけるコンテナイメージgeo-replicationのプレビューを発表している。現時点で geo-replication プレビューは ACRでサポートされる "SKU" Azure プレミアムサービスレベルでのみ利用可能だ。
地図をクリックして一つのレジストリを管理することで、任意の数のリージョンに対してレプリケーションが可能だ。ACR のコンテナイメージに対する push/pull は最も近いレジストリを経由して行われる。ACR geo-replication は一つのエンティティを利用した世界規模でのデプロイ管理を可能とする。Azure をはるかに小さなグローバルフットプリントな他の競合と一線をかくす geo-replication は世界規模での処理を利用者に提供する機能だ。
今年初めに Microsoft は Cloud Native Computing Foundation (CNCF) のプレミアメンバーとして参加した。CNCF は Kubernetes オープンソースプロジェクトを監督している。他の CNCF プロジェクトについても Microsoft は Kubernetes にコードの貢献をし、Draft の様な興味深いソフトウェアも開発しており、Kubernetes が開発者に利用しやすいようにすることを狙っている。
他の AKS について情報としては、Azure ブログにおける "Introducing AKS (managed Kubernetes) and Azure Container Registry improvements" で発見することができる。