AWSは先日、Database Migration Service(DMS)の新しいオプションとして「サーバーレス」を発表した。これは、移行リソースのセットアップ、拡張、管理を自動的に行い、費用対効果の高いデータベース移行をより簡単に行うことが可能になった。
2016年から提供開始されたDMSは、同社が提供するフルマネージドサービスで、さまざまなソースからAWSへのデータベースの移行をシームレスかつ効率的に実現する。新しいオプションとなるサーバーレスは、必要なコンピューティングリソースの決定と移行に必要な運用タスクの管理プロセスを簡素化し、移行の自動キャパシティプロビジョニング、スケーリング、最適化をサポートすることで、手動で行われる当て推量な作業をなくす。
DMSサーバレスは、データソースとしてMicrosoft SQL Server、PostgreSQL、MySQL、Oracleをサポートしている。ターゲットとしては、Amazon Aurora、Amazon Relational Database Service(Amazon RDS)、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)、Amazon Redshift、Amazon DynamoDBといった各種データベースや分析サービスに対応する。今後のバージョンアップでさらに追加していくという。
AWSのプリンシパル・デベロッパー・アドボケイトであるDonnie Prakoso氏は、AWSのブログ記事で、DMSサーバーレスで考えられるいくつかの使用例を概説している。
AWS DMSサーバーレスを使用してデータベースを移行し、複数の、おそらく異種のデータソースからデータレイク(Amazon S3など)やデータウェアハウス(Amazon Redshiftなど)への継続的なデータ複製を同期させることによって、最新のデータ戦略の構築を支援することができます。
DMSの重要な点は、DMSサーバーレスを設定する際、ユーザーは容量の項目で、DCU(DMS capacity units)の最小値と最大値を定義することで、レプリケーションを実行するために必要な容量の範囲を設定できることである。なお、AWS DMSサーバーレスはレプリケーションのワークロードを評価して最小DCUを決定するため、最小DCUの設定は任意である。また、レプリケーション処理中、AWS DMSはこの範囲で、CPU使用率、接続、利用可能なメモリに基づいてスケールアップとスケールダウンする。
AWSの競合であるMicrosoftやGoogleも、マネージドデータベース移行サービスを提供している。例えば、Azure Database MigrationServiceは、AWS DMSと同様の機能セットを提供し、オンプレミスのデータベースをAzureにシームレスに移行することができる。同様に、Google Cloud Database Migrationサービスは、データベースをGoogle Cloud Platform(GCP)に移行することができ、2020年からはサーバーレスオプションも用意されている。
AWS Mainframe Modernization serviceのプリンシパルアーキテクトであるDidier Durand氏は、LinkedInの投稿でこう述べている。
データ移行は、メインフレームを含むあらゆる移行プロジェクトの重要なツールだ。AWS DMSは、サーバーレスになることで、より使いやすく・効率的に進化した。プロビジョニング、スケーリング、高可用性などの「未分化の重労働」をAWS上で行うようになったのである。
AWS DMS Serverlessでは、顧客は1時間あたり使用した容量に対してのみ料金を支払う。価格やサービスの詳細は、価格ページで確認できる。