マイクロソフトは、IndexedDBとWebSocketsのようなプロトタイプ技術をテストすることができるHTML5 Labsで、IE9で開発中の早期のWeb技術を提供することを決定した。
Mozillaで働いているオープンソースエバンジェリストのChristopher Blizzard氏は、ブラウザ-インターネット間の通信が危険にさらされる可能性があるというプロトコルレベルのセキュリティ問題のため、Firefox 4 Beta 8で早期実装のWebSocketsを無効化を可能にするとアナウンスした。Adam Barth氏は、脆弱性のたたき方について解説した。Firefox 4 Beta 7は、WebSocketsのドラフトバージョン76を実装しており、Blizzard氏は、Firefoxは、セキュリティ問題の修正に継続して協力していくと述べている。
この問題はWebSockets特有のものではなく、標準が固まる前の早期にはよく起こることである。しかし標準が変更されてしまうと、アイディアを持つ開発者が混乱したり、不満を抱いたりするため、公式版の製品(このケースではブラウザ)で使われている実装を尊重する傾向にある。このような問題を避けるため、マイクロソフトはIE9にこれらのWeb技術で現在、サイト準備ができているもののみを含めることにして、現在も開発中の早期Web技術のプロトタイプとして、HTML5 Labsを作成した。これは、マイクロソフトが世界から完全に離れて新しい標準の作業をしている訳ではなく、マイクロソフトが、なにをして、どこに行くのかを示し、ブラウザの開発者にフィードバックと影響を与えることを可能にする。IEのゼネラルマネージャであるDean Hachamovitch氏は、プロトタイピングWebサイトを作成した理由を以下のように説明している。
IE9の製品では、開発者はサイト準備のできたHTML5を期待することができるため、彼らはHTML5 Labで早期のHTML5を実験して、準備し、最適なHTML5を得ることができます。それらを切り離すことで、開発者は同じブラウザで全く異なることが混在することによるマイナス影響を受けることがなくなります。
Hachamovitch氏は、安定した製品を提供することと、開発者が組み込まれる技術を実験することが重要であると考えている。
問題は、開発中の技術の実装(解決するべき開発中の問題)において、(新しい技術を使うために何度もコードを書き換えたくない)開発者のニーズと、(サイトとブラウザがきちんと動作することを期待している)消費者のニーズのバランスをどのように取るかです。現在、iPhoneとiPad 4.2は、WebSocketsをサポートしています。FirefoxとOperaは、先日セキュリティと互換性の問題により、それらの実装を無効にしました。
今のところ、HTML5 Labsには、IndexedDBと WebSocketsが含まれている。IndexedDBは、シンプルな値と階層オブジェクト、実質的なキーバリューストアのデータベースのレコードを保持するためのWeb仕様APIのドラフトである。IndexedDBは、JavaScriptからローカルブラウザのストレージにアクセスする機能を提供することを意味する。もうひとつのプロトタイプであるWebSocketsは、ブラウザとサーバーの間で双方向通信を行うプロトコルである。このプロトコルは、HTTPが持っていない本当の通信チャネルとして、ロングポーリング(Comet)やAJAXの代替となることを意味する。
プロトタイプを使用するためには、開発者がダウンロードして、DLLを登録するか、MSIを実行して、インストールする必要がある。WebSocketsプロトタイプは、簡単なチャットのデモが、IE9ベータ、Chromeで動作し、他のタブやウィンドウ間のチャットもできるようになっている。