JBoss Rules 3.0がリリースされてから1年あまりが過ぎた。まず大きく変わったのはその名前だ。今回のリリースで、JBoss RulesはJBoss Droolsになった。新しい名前に伴い、新しいAPIと言語機能が提供されているが、V3.0との下位互換性は中断された。公式なリリース発表によると、4.0の主な機能とメリットは次のとおりである。
バージョン4.0はMavenユーザ向けにJBoss Mavenリポジトリでも利用可能である。また、Eclipse Drools IDEには、このリリースに伴う数多くの新しい特徴や機能がある。これら変更点の概要詳細については、PDF文書の形でも参照できる。 JBoss DroolsのリーダーであるMark Proctor氏は最近、将来のJBoss Droolsのリリースで何をするのか語った。
- パフォーマンスの向上:Drools 4.0は従来版に比べて速く、スリムになっており、メモリフットプリント(実装に要するメモリ容量)が小さくなったことが特徴だ。社内のベンチマークテストでは分単位から秒単位への性能の向上が見られている。
- 表現力の向上:このリリースでは、表現力が劇的に向上した強力な宣言型ビジネスアクション記述言語(MVFlex表現言語)を取り入れている。読みやすくなっただけでなく、さらに簡潔になっていることがわかるだろう。
- 業務アナリストが使いやすいツール:新しいガイド付きのルールエディタによって、プログラマーでないユーザーが、1行もコードを書くことなしに、ポイント&クリックで企業データと自動的に結合した高度な宣言型ビジネスルールを作成できる。基本的なメニューのプロンプトおよびドロップダウンリストがガイドす る。
- ルールフロー機能:この視覚的なモデル化技術によって、ユーザーは関連するルールの実行経路を宣言的にモデル化できる。1つの作業メモリ内の同時フローもまた可能になった。基本的に、典型的な業務プロセスを規定している要件に沿ったルールの実行を組織化する。
- 複数アプリケーションのサポート:全面的なスレッドセーフティだけではなく、ステートフルおよびステートレス処理のサポートが改善されたことによって、 Javaプラットフォーム、エンタープライズエディション(EE)、そしてサービス指向のビジネスアプリケーションにDroolsを組み込むことがさらに容易になる。
- ハイバネートの準備が整う:ユーザーはハイバネート駆動のRDBMSクエリから直接ファクトをアサートできる。既存のハイバネート・コンポーネントはルールエンジンで直接使えるため、コーディングの量が減少する。
- プログラマー以外のユーザー向けのBRMS:テクノロジープレビュー版である新しいBRMSは、AJAX機能が強化された、協力的な、ウェブベースのルール作成システム、ルール・バージョン管理システム、そしてルール管理システムである。業務アナリストは今や対話形式でルールの生成や変更ができるようになり、ルールは自動的にバージョン管理される。管理者はQA(品質保証)、ステージング、プロダクションなどの、ルールの完全なライフサイクル管理機能を使える。
Proctor氏はさらに、Drools-solverと呼ばれる、来るべき問題解決のフレームワーク、JBoss Droolsにプラグインするファジー論理の評価システムといった、いくつかのコミュニティプロジェクトについても述べている。将来には、JBoss Droolsが一介のルールエンジンから成長して、行動モデリングのための十分に統合された人工知能プラットフォームになることを、Proctor氏は確信している。「まだ次の3つの主要な機能が抜けています。 解析、オントロジーのモデル化、テスティングです。
次のリリースは間もなくで、3ヶ月後くらいだと思います。そのリリースには、できれば解析とテスティングを入れたいと思います。できるだけ早く発表したいからです。オントロジーのモデル化についてはもう少しかかるので、プロログ式の(完全な複合エンジン対応の)後向き連鎖、複合イベント処理(CEP)、イベントストリーム処理(ESP)と共に、その後のリリースに入れるつもりです。」