今日のWebの最適なビジネスモデルとはどのようなものだろうか? この問題を巡っては多数ある論説の中でも意見が分かれている。数週間前、Stan Schroederは、アプリケーションへのこれ以上の機能の追加は機会よりもリスクの方が大きいと主張した(リンク)。特定のニーズに対してあらゆる対応ツールを提供することは成功の鍵であるが、「すべてが常に拡大、縮小およびオーバーラップを繰り返す」インターネットによって展開される流動的で変化の激しい環境においては、通用するとはいえない。特にその後の変化に対応する必要がある場合には、そうした対応策は、実際、砂上に楼閣を築くようなものである。
当然ですが、周囲の環境がそれほど変化していない場合は、特定のグループのニーズを十分満足させることができます。[...]
かつては、ヒットするアプリケーションを作成しようとする場合、成功の1つの鍵は他社が備えていないような多数の機能を提供することでした。AdobeのPhotoshopがその典型です。一部の写真を編集する必要がある場合は、Photoshopがベストで、これ以上のものはありません。必要になると思われるツールがすべて装備されているからです。
ですが、これはオフラインの世界の話です。Webでは事情が変わってきます。ユーザは何をするかだけを重要視するのではなく、どこからでもそれをできるようにしたいと考えますし、他のサービスにプラグインして、他のユーザと体験を共有することも望みます。
今日、ユーザが求めているのは、「特定のサービスに対応する単純なウィジェットアプリケーション」である。しかし、Schroede は、特定の小型のアプリケーションを多数作成するよりも、「ごく基本的なニーズに対応する非常に単純なサービスを構築して、最上部にAPIを載せる」方法が望ましいと考えている。
わたしは、こうした様々なニッチすべてをつなぐ最小の共通項、基礎となる基本的ニーズを見つけて、それに対応し、開拓して、残りをつぶしていく [方法の] 方がよいと考えています。この方法ですと、ユーザは使用したい機能だけを選択することができますし、アプリケーションは、使用目的に合わせて単純にも複雑にもできる流動的なモジュールサービスになります。
Schroederによれば、そうしたサービスは「Webの制限を解除」することが予想され、多数のユーザがサービスの対応しているニーズを共有するかぎり、「競争することは不可能である」。
Fred Wilsonはこの推測をグループ市場に適用している(リンク)。Wilsonは、グループについてのCharlie O'Donnelの投稿に基づいて自論を展開しているが、結論については若干意見が異なる。O'Donnelは、「グループはそれぞれに異なっているため、すべてのユーザの問題を解決する特定のグループソフトウェアのアイディアは通用しない」ので、グループへのWebサービスでは 「すべてを統治する 1 つのリング」はあり得ないとしている(リンク)。ただし、O'Donnelは、すべてのグループに必要とされる次のような3つのプロパティを提唱し、強調している。
- 私物化するためのカスタマイズ可能なサイト。たんにグループの活動とサインアップ方法についての情報だけを提示する場合にも必要。
- 内部で通信する方法。グループに応じて単方向または双方向のリストサーブを介して行う。
- イベントに対するRSVPの実行方法
Fred Wilsonは、これがSchroederの主張した、グループに適用される最小の共通項にあたると考えられることを示唆した。「別のグループサービスの構築は解決策ではない」と主張しながら、一部 O'Donnel の意見に同意する一方で、前述の3つのサービスを提供するキラーAPIの構築とその最上部への構築を可能にすることは、グループ市場の興味深いビジネスモデルになり得ると語っている。
別の投稿者による見解を検討してみると、Bob Warfieldは、「Less is More(シンプルイズベスト)」パラダイムヘの慎重な方法は奏功しないことが多いとの見方を示している(リンク)。
われわれは、少ないことに起因する外見上の単純さと、パラダイムシフトにつながる真の単純さを取り違えないように十分注意する必要があります。
[...]
気に入っているUI設計の引用句の1つは Alan Kayの 「単純なものは単純に、困難なものは可能に」[...] です。ソフトウェアで単純化する機能のレベルを上げる試みの先鞭をつければ、非常に大きな強みとなります。それによって、ユーザは少ない機能で多くの効果が得られるようになるのです。
Warfieldによれば、これはまさにWeb 2.0にまつわる問題である。ソーシャルネットワーク、ブログ、グループは、「個人またはグループがごく簡単に希望を達成できるように設計されたWebサイトの開設方法についての非常に単純な一連の繰返し」である。Warfieldは、これらの成功を、"以前には困難であった様々なことを単純にし、一部 [...] 困難なことを可能に" する能力と関連があると考えており、この能力を今日のWebの成功するビジネスモデルの鍵であると結論付けている。そのためには、「しごく単純に見えるために、かつては困難であったことを成し遂げて初めて進歩していることに気付く」ように「困難に対処する能力を保持しながら、困難との紛らわしさを避けて、先端では単純化」を常に実現する必要があるユーザインターフェイス設計に対しては、厳密な方法が必要になる。
結果として、投稿者は、今日のWebにおける鍵は単純化であるとの認識を共有しているように思える。しかし、単純の捉え方は様々である。ユーザのニーズに最も対応し、Web市場で勝ち抜く見込みのある新しいビジネスモデルの基礎にふさわしいものはどれか、あなたはどう考えるだろうか。
原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/07/business-model-for-web