ソフトウェアのためのかんばん方式は(リンク)、トヨタ生産方式に由来するもので、スケジューリング作業のためのイテレーションのないアプローチである。タイム・ボックスの決められたイテレーションと計画ミーティングを使用するかわりに、前の作業が完了した場合にのみ、バックログからストーリーを取り出す。
ValtechのアジャイルコーチであるDave Nicolette氏(リンク)の意見では、「アジャイルコミュニティの一部の人たちは、シェードツリーの便利屋へと変わろうとしているように思われます。彼らは、アジャイルの作業の単一モデル手に入れていて、それをあらゆる状況に適用します。あなたが手に入れたものがダクトテープであれば、全てのものがダクトのように見えます。」彼は、我々のレパートリーをスクラム/XPの基本から発展させ、かんばんのような他のツールをよく理解することが重要である、と考えている。
ソフトウェア開発チームでかんばんを実践する方法には様々なものがある。The Art of Agile Developmentの著者であるJames Shore氏(リンク)は、その一つについて書いている:「チームはバックログからストーリーを選択し、開発し、完了するとすぐにリリースします。次に、彼らは次のストーリーをバックログから選び、開発し、そのストーリーをリリースします。作業結果は出来上がり次第すぐにリリースされ、チームは一度に一つのストーリーに取り組みます。」James氏によると、かんばん方式を機能させるためには、いくつかの重要な要素がある。
- 最小限の市場性のある機能(Minimally Marketable Features:MMF):MMFは、市場で価値のある最小の機能である。MMFはキューで保持される(スクラムのプロダクト・バックログに酷似している)が、キューのサイズには厳密な制限がある。(James氏は2~3を、Arlo氏は7を好んでいる)
- 仕掛品:チームは、最も重要な部分が完了するまで、それに取り組む。彼らは一度に一つのアイテムだけに取り組み、それをもっとたくさんの個々の小さなタスクに分ける。
- 見積もり:形式ばった計画と見積もりをする代わりに、MMFが全てほぼ同じサイズであると仮定する。一つの機能が完了するまでの平均時間を調べることによって、キューの中の各アイテムの待ち時間について、いいアイデアを出すことができる。
- 緊急のアイテム:時おり、緊急の作業が発生することもある。一つのスロットが緊急の作業のために保持されている-このスロットはバックログを無視し、チームはできるだけ速くその仕事を完了するために作業をする。もし、さらに緊急の作業が出てきた場合は、通常のバックログを経る。
- バグ-その機能が仕掛かり中の場合は、すぐに修正される。もしそうでなければ、バックログに戻される。
Agile Management and Kanban proponentの著者、David Anderson氏は、彼の「成功の秘訣」(リンク)について次のように言っている:「品質に重点を置いて取り組み、仕掛品を減らし、能力と要求のバランスを保ち、優先順位をつける」
Corey Ladas氏は、なぜプルなのか?なぜかんばんなのか?(リンク)という疑問に答え、次のように述べている:
プロダクトの機能を実現するためには、様々なスキルをもつ人が一緒に作業する必要があります。現時点では誰も必要としていない機能は作らないでください。あなたのコードで出来ることを超えた仕様を書かないで下さい。あなたがテストすることが出来る量を超えたコードは書かないで下さい。あなたがデプロイできる量を超えたテストを書かないで下さい。…かんばんは、知られている他の選択肢よりも効果的に、この問題を解決すると私は考えています。
David Laribee氏は、彼が以前勤めていたXclaimでかんばんを導入した(リンク)。なぜなら、XPを2年間使用して、障害や問題を明らかにするのに苦労していたからである。さらに彼は、計画やふりかえり、デモには、やり過ぎを含むたくさんの無駄があると感じていた。彼は、最終的には、あらゆる優れたアジャイルチームは、彼ら自身の方法を得るだろうと考えている:「もちろん、私達は最初からそこに到達することはできません。私達は、私達が知っている TDDやローリングウェーブ計画法等の、幅広い適用性や人気、耐性があるプラクティスで、適切なベースラインを設定する必要があります。優れたアジャイルチームは、しかしながら、彼らのプロダクトと顧客のニーズが適合するように、継続的に彼らの方法を調整しています。」
かんばんの議論はかんばんのメーリングリスト(リンク)で行われている。
以前InfoQに掲載されたかんばんに関する記事:Future Directions for Agile(参考記事・英語)、かんばんボードによるプロジェクトの見える化、SCRUMバン - SCRUM用のかんばん