Scrum Development Yahoo Group(リンク)の最近の議論スレッドでは、Nokiaテスト(リンク) やJoelテスト(リンク)のような、プロセスチェックリストによるテストの価値について分析している。ある人たちは、こうしたテストはリッチなアジャイルの成熟したモデルの出発点であると考えているし、別の人たちは、これがアジャイルへの規範的なアプローチになるのではないかと心配している。これは、インスペクションを実施して適応させていくことの本質を完全に忘れているだろう。
Bas Vodde氏(リンク)は、Jeff Sutherland氏(リンク)が後に「Nokiaテスト」と名付けたものを作成したことで、広く高い評価を得ている。Bas氏はこの方法の歴史を説明した。
「このような場合、あなたはアジャイルではない」というスライドが、約4年前にNokia Networks(現Nokia Siemens Networks)社内で作成されました。その目的は、プロダクトをスクラムへと移行することが本当に重大であるか否かをアジャイルコーチが(!!)素早く評価できるようにすることでした。これは最低限の線であり、もしプロダクトがこれらのポイント(私たちはアジャイルを実践していて、イテレーションの長さは2ヶ月です)さえも通過していない場合、彼らにコーチングする努力をはらうには(まだ)値しないかもしれません。
シンプルなリストがあり...最後に私がNokia Networksについて行ったプレゼンテーション(リンク)へと行きますが、これは公表されています。Jeff氏はこれを役に立つシンプルなリストであると考え、それを取り上げて、「Nokiaテスト」と呼びました(これは単に「...な場合は、あなたは反復開発を行ってません」と呼ばれていました)。
時間とともに、これは別のものに「改良され」ましたが、名前は相変わらず同じままでした。
Peter Stevens氏は、彼自身のプラクティスの中で使用するために、Joelテストをカスタマイズした際の経験について述べている。
私がJoelテストを新しくした目的は、アジャイルにしようと奮闘しているプロジェクトのコーチングを始めるときに、私の助けとなるツールを手に入れることでした。しかし、質問はそれほど役に立たないことに、すぐに私は気がつきました。チームがスプリントのふりかえりやスプリントの計画をしているのを見て、本当の問題はすぐに明らかになります。私が見たもの対処することのほうが、アカデミックな評価をするよりももっと重要なのです。
Tathagat Varma氏は、「これらのプラクティスを行っていますか?」と質問する代わりに、組織は次のような領域でのプラクティスの結果を調査するべきであるという考えを述べた。その領域とは、例えば担当者のモチベーションやチームの生産性、顧客の満足度などである。この時点でRon Jeffries氏(リンク)が議論に参加し、結果を調査しても与えたアプローチがアジャイルであるかはわからないだろう、と指摘した。
私が言いたいのは、結果を追い求めることの全てがアジャイルの価値と両立するわけではないということです。アジャイルの価値と原則は、マニフェストに載っています。それらと大きく異なるものはどれも、良いものかもしれませんが、厳密にはそれをアジャイルとは呼べないでしょう。
このすべてが「テストのポイントは何か?」あるいはもっと具体的に言うと「それを適用することで、何を学びたいと思っているか?」という疑問を投げかけている。「Nokiaテスト」の起案者であるBas氏はこれらの考えについて次のように述べている。
最初の質問に関連しますが、これらのテストは役立つのでしょうか?それは、あなたがテストを使用する目的に大きく依存しますし、それを使用している人が実際にその意味を理解しているかどうかを確認することです(5つの質問しかなかったので...)。概して、私は「アジャイルの成熟したモデル」や「アジャイル・アセスメント・モデル」あるいは「アジャイルテスト」が役に立つとは思っていません。なぜなら、複雑なテーマに対する簡単な見方になりがちだからです。
「Nokia テスト」は、本来の目的である、Nokiaのアジャイルコーチがコーチングのメリットを受ける準備が出来ているチームを判断するのを支援することには、適っていたように思われる。これを他の目的に転用できるだろうか?答えは九分九厘Yesだが、慎重に検討せずに適用することに対しては多くの警告があり、ことによると最初にそれを適合させるだろう。Jim Brosseau氏は(リンク)かつて、2007年12月に次のような見識を(参考記事・英語)持っていた。
最初に、もしあなたがNokiaではなくて、このテストを最も基準となるものとして使用することを決めたのだとしたら、あなたは既にアジリティの要点を理解していないのだと思います。あなたの組織の、あらゆるあなたのプロジェクトに最適な、たった一つの明確なアプローチは無いのです。
Jim氏は次にNokiaテストの分解を行い(参考記事・英語)、もっと価値があるかもしれない一般的な概念を、他の環境では適切ではなさそうな、特定状況下の細かいものと分離した。
最終的に、この議論の全体から何が学べるだろうか?シンプルなチェックリストは、便利で拙速な評価を提供することができる。それらは、そのプラクティスが実際に結果をもたらすかは教えてくれないだろう。結局のところ、チェックリストは、与えられた状況の中でどれだけ効果的に適用されるかに関する見識を伴なう、アジャイルの原則やプラクティスの理解に代わるものではない。これは、インスペクションを実施して適応させていく(継続的な改善の)文化と相まって、高パフォーマンスのアジャイル・インプリメンテーションへの、おそらく本物の鍵である。