QCon San Francisco 2008(リンク)では、Open Standards Developmentに関する公開討論会が開催され(リンク)、Patrick Curran氏 (JCP(リンク)の議長であり、コミュニティの優秀なメンバでもある) がオープンスタンダードとオープンソース開発の双方に関する彼らの実用的な経験を共有した。ほぼ最初の段階から2つの大きな問題が存在し、ディスカッションの中心となりうることは明確であった。その2つの問題とは、JCPへのエントリーレベルの参加の公開化と容易性である。
ディスカッションはBeJUG (リンク)、JavaPolis(リンク)およびParleys(リンク)の創設者、Stephan Janssen氏から始まった。Stephan氏は、なぜBeJUG がJCPに参加する2つのJava User Groups(リンク)の1つであるかについて聞かれた。Stephan氏は、それはBGGA Closures proposal(リンク)への関与によるものだと説明した。氏は、費用の面でJUGにはJCPへの参加が困難であることも言及した。Patrick Curran氏は即座に会話に加わり、JCPへの参加は無料ではないが、非営利団体向けの割引があることを述べた。
Silicon Valley Web JUG(リンク)およびSilicon Valley Google Technology User Group(リンク)を率いるMichael Van Riper氏は話を続け、彼の経験から、JCPには真のコミュニティ意識はない (少なくとも特定JSR以外には) ことを明らかにした。氏は再び参加費は問題であると主張し、統括組織としてのJUG USAに向けた計画について語った。
続いての講演者、Cultural Heritage Imaging開発ディレクタ(リンク)のMichael Ashley氏は、一般公開性の欠如について主張した。この点については、San Jose State University(リンク) のCay Horstmann氏も再度主張した。また、標準化プロセスにおける透明性の重要さについても強く主張し、教育においてオープン スタンダードがいかに有益であるか説明した。
続いて、Artima(リンク)のBill Venners氏は、言語の標準化がいつ必要になるかという問題について慎重に検討し、それは複合的な実装があるときに、意義を付加するだけにすぎない。他の大部分のケースでは、言語に準拠したキットを単に持つことがより望ましいという結論に達した。
米国標準技術局(リンク)のLynne Rosenthal氏は、どうすれば標準化組織が上手く機能するかについて検討し、これは基本的なチームワークに関することであると結論付けた。同様に、官僚主義的な手順を熟知し、かつ形式的な作業を管理できるメンバを持つことが非常に重要である。さらに氏は、強力な指導者がいかにJSR成功の鍵となるか説明した。
Google(リンク)のAccessibility EngineeringのチームメンバであるLoretta Guarino Reid氏は、チームがどの程度、障害を持つ者と作業を行ってきたかについて聞かれた。Reid氏は障害を持つ者にメンバと作業を行ってもらうようにし、すべてのドキュメントを利用しやすくしようとしていると答えた。Reid氏は、メンバがこれまでしてこなかったことに対し、とりわけ聴覚障害者と取り組む意向があることも述べた。
演説すべき最後のスピーカはRod Johnson氏であった。氏はSpring framework(リンク)の創始者であり、JCP の活動方法に関し過去に明確な意見を述べてきた(リンク)。また最近では、JCP 実行委員に選出された。Johnson氏はこれまで非常に批判的であったプロセスに参加した理由について聞かれ、これに対し、ポジティブな変化の兆しが見えてきたと述べた。また、Johnson氏は、プロセスに対するさらなる透明性をもたらし、コミュニティを「java citizenship」に関与させることに強い関心を持った。Patrick Curran氏は、すべての議事録はデフォルトで公開されると主張することでJCPのプロセスを弁護した。また、公開性を促進するグループウェア ツールを構築しており、これはサイトの次期バージョンで発表される予定であると述べた。Rod Johnson氏は、彼の言う「java citizen」について聞かれた。Johnson氏はJavaコミュニティのメンバとして、ユーザには権利と特権があり、それらを行使するために参加する必要があると述べた。
聴衆の中には、一般のプログラマにとって参加は容易ではないと言及する者もいた。これに対し、Patrick Curran氏は、実際にプロセスは誰にでも極めてオープンであり、実質的な障害はないと論じた。Rod Johnson氏は、オープンソースの団体は詳細なことまですべて説明する必要はないと付け加えた。しかし、Cay Horstmann氏は、一般ユーザにとって物事の技術的な面に直接参加するのは困難であると言及した。Stephan Janssen氏は、全体的なプロセスに透明性が失われつつあると述べた。
この時点で、聴衆の出席者は仕様書を読むのは困難であると主張し、オープンソースのコード リポジトリ、公開イシュー トラッカーおよび公開メーリングリストを提案した。Rod Johnson氏は、ユーザが目的とする作業を技術により行えるかどうかは仕様書からは分からないと述べた。
仕様策定者は外に出て、コミュニティを促進させる必要があると、数名の聴衆が言及した後、InfoQのチーフ エディタを務めるFloyd Marinescu氏 は、JCP委員会は決定を下す際の「より大衆的なアプローチ」に向け、公開調査の開催を考慮しているか尋ねた。Patrick Curran氏は、彼らはそのことについて考慮していなかったと答えたが、JCPサイトの次期バージョン用に開発された新規コラボレーション ツールを用いれば、ユーザはより多くの参加方法を利用できるようになるという意見を述べた。
聴衆には、OSGi(リンク)に対するJava Modularity(リンク)の選択、およびそれにより引き起こされる混乱について否定的なコメントを述べる者も多かった。Patrick Curran氏はJava Modularityの選択を弁護するために、氏が現場のエキスパートではないものの、この決定に至る技術的な理由が複数存在することを述べた。
聴衆は、仕様策定者は他の仕様策定者と交流を持つのが困難であると述べ、またユーザにはJSR間で簡単かつ自然なやり方で交流を持つ現実的な手段がないという事実を批判した。Patrick Curran氏は、プロセスには「何かが欠けている」という点に同意した。また、Rod Johnson氏は彼の見解を繰り返す機会を見つけ、公開化の促進がこの問題にも役立つことを述べた。さらにCay Horstmann氏も問題を確認した。聴衆は仕様策定者間に適切なコミュニケーションの方法がないという事実を主張した際、Rod Johnson氏は、JSR間でさらなる問題があり、それは範囲が明確で状況をより困難にするものであると述べた。
その後、聴衆の中にはペーパーワークがいかに面倒かという点について否定的な感情を表すユーザもいた。そこで、Patrick Curran氏は法的な取り決めにより、将来的に法的な問題が発生しないことをJCPが保証する点について説明する必要があった。ディスカッションは最後まで終始この同じテーマについて議論が続いたが、聴衆はJCPへの参加の容易性とペーパーワークの削減を求め、議長は現在の状況を正当化しようとした。InfoWorld(リンク)およびJavaWorld(リンク)はともに公開討論会のこの様子について扱っている。
コミュニティは公開化とJCPからの参加の容易性を求めていることから、今後、プロセスがどのように発展していくかに注目が集まるであろう。
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JCPに関するさらなる情報はInfoQのこちらから入手できる(参考記事リンク)。