過去1年間、WOA関連の論議や論争がいよいよ増えてきた。WOAは、たとえばRESTの論争に新しい何かをもたらすか(参考記事) ? WOAはSOAと違うのか? 実際SOAにWOAを導入すべきか(参考記事・英語)? WOAのガバナンスはどうなっているのか(参考記事)? WOAという用語を取り巻くいっさいの混乱と不透明さの中でも、明らかなことが1つある。これもまた、REST対WS-*(参考記事・英語)やVHS対ベータマックス(リンク)ばりの対立になり得るということだ。先ごろ、Judith Hurwitz氏(リンク)は「Why I think Web Oriented Architecture is Phony(リンク)」(Web指向アーキテクチャをニセモノと考える理由)という題で論説を書き、この論争に参入した。Hurwitz氏は記事でこう言っている。
そういうわけですから、私が見るところでは、SOAはSOAPなど、バックエンドのサービスとプロトコルのことであり、WOAはRESTなどのような素晴らしいWebプロトコルという位置づけですね。それなら、「SOAから脱皮し、ワクワクするような新しいことを見つけてそちらに集中できるなんて、ありがたいこと」などと言うべきなのでしょうか。
Hurwitz氏は、SOAはバックエンドのプロトコルとサービスのこと、とは思っていない。実際、こう言っている。
ステートレス・コミュニケーションを提供するRESTのようなプロトコルが、間違いなく、サービス指向アーキテクチャになくてはならない部分なのです。
RESTは明らかにアーキテクチャであり(参考記事)、「プロトコル」ではないが、この議論の目的上、この点は無視できよう。 (Hurwitz氏の論説のコメント欄に、Mark Baker氏(リンク)が同様の指摘をしている)。Hurwitz氏は続けて、実はSOAの力とは、企業がビジネス機能上重要なサービスを創り出すことに集中できることに加え、こうしたサービスを柔軟に用いてアジャイルなビジネスプロセスを大量に創り出せることである、と述べている。
企業はこのアプローチの使い方では、かなりクリエイティブになっています。ソフトウェアコンポーネントを伴うビジネスサービスを作成するだけではなく、こうしたビジネスサービスを、たとえば電気メーターの監視などといったビジネス要素に結び付けています。[…]こうした企業の顧客にとっては、このアプローチがSOAと呼ばれようが、WOAやCASHと呼ばれようが、どうでもよいことであり、このアプローチによってこれまで経験したことのないほど柔軟性がアップしたことが分かっているだけです。新しい頭字語はもう要らない、というのが本音です。SOAは一時的な流行ではなく長期的なビジネスアプローチであり、IT資産やビジネス資産を、進化するビジネスプロセスの一部として使用できるサービスへと変換するのです。
Dion Hinchcliffe氏(リンク)などがWOAとSOAについて(リンク)以下のように言っているが、Hurwitz氏の議論には欠けているようである。
WOAは実は、SOAを現に大いに補完する、SOAのサブスタイルなのです。私個人の考えですが、私たちが過去数年間歩んできた路線に適切な再調整を少なからず施す必要がちょうど出てきており、WOAに見られる概念のおかげでより良い調整方法が見つかる、ということが私たち皆の力で分かったのです。
しかしHurwitz氏は論説の結びにオンライン世論調査を設けて、声を発しない大多数の人々に意見表明の機会を与え、「Web指向アーキテクチャと呼ばれるものが私たちに必要と思いますか(リンク)」という問いかけで人々の考えを判定しようとしている。この記事の執筆時点で、WOAという用語の必要性を感じているのは、投票者のわずか33%だった。何人が投票したかについては表示がないため、この意見がどれほど顕著なのか、実際に決めることはできない。しかし、Gartnerのアナリスト、Nick Gall氏(リンク)が次のコメントを寄せている。
ほら、10月22日の午前0時を過ぎた時点では、回答者の3分の1がWOAは将来増加する傾向、と考えています! 驚くほど高い割合だと思います。お祝いしましょう!
Gall氏はたった1つの世論調査では満足せず、「WOAがニセモノであるというJudith Hurwitzにあなたは賛成しますか(リンク)」という世論調査を自分で作ったが、今のところ56%の人がHurwitz氏と同意見である。幸いにGail氏の世論調査は投票数を表示しており(リンク)、現時点では9票なので、いかなる分析結果を出すにも十分な統計的分布ではない(この9票全部が同一人物からの投票という可能性もあるのだから!) それで結論はどうなったのか。もっとたくさんの人が時間を割いて投票してくれたら(1人につき1度の投票をお願いする)、この世論調査からある程度の結論を導き出せるかもしれない。それがなければ、WOAに関する限り、視界はまだ少し曇ったままである。