JavaOne 2004で発表されたように、SwingLabsプロジェクトはコアJDKに流れ込むことができる新たなSwingベースのUIテクノロジーのための、重要な培養地である。当初そのプロジェクトは、Sun以外からの多くのデベロッパたちを魅了したが、昨年はやや低迷した。Jeanette Winzenburg氏によるSwingLabsの フォーラムでの投稿記事(リンク)を経由して発表されたように、SunはSwingXプロジェクトへの資金提供を完全に中止することを決めている。これにより、 Swing開発コミュニティの多数のものが怒りを露にした。そのコミュニティでは、コアSwing APIがさらに新しいJavaFXテクノロジーのためにGUIライブラリのサポートを委託されているという見方が高まりつつある。Kirill Grouchnikov氏はそのトピックに関するブログ投稿記事(リンク)で、このことを簡潔に表している。
「コアSwingは、SunでのレガシーUIテクノロジーとして、撤退している最中にいる。また先週はもうひとつ残念な(そうは言いつつも、予想されていたが)出来事があった。SwingXプロジェクトの資金提供の取り止めである。
SwingLabsの 歴史についての分析で、Kirill氏はコミュニティの関与が減少していることに対するトリガーポイントとしてSwingX PainterレイヤーおよびJXComponentインターフェイスを断念するというSunの2007年1月の決定(リンク)を引用し、 以下のように主張している。
「これは外部のコントリビューターの信頼を大きく裏切る形となった。彼らは二度と戻ってこない。Sunのデベロッパが、そのプロジェクトから撤退した後でさえも、戻ることはない」。
また、Krill氏はJavaFXについても深い疑惑を持っている。
「JavaFXにどんな未来が待ち構えているのかは分からない。Sunはそれを確信しているし、誰もNomadを永遠にインターネットでアーカイブしたいと は思っていない。分かっていることは、JavaFXがすべてのコアSwingの開発を効果的に中止させたということである。過去1年半、多くのアーキテクチャイニシアチブ(JSR 295およびJSR 296)がリードを変えて、凍結したのを見てきた。Java2D、AWTおよびJava 6 Update 10のSwingすべてのクライアントが直面している改善は、JavaFXの要求によって完全に推進される」。
SunのスタッフエンジニアであるJosh Marinacci氏は、SunのJavaFXプロジェクトに深く関与しているが、フォローアップの投稿(リンク)で、SwingXおよびSwingLabsは存続すること、およびSwingデベロッパはJava SE 6 Update 10 の最近の変更とJava 7における今後の変更から恩恵を受けることを主張し、そうした懸念は時期尚早であることを述べている。
「生涯にわたるクライアントJavaデベロッパとして、Javaスタックの現状にこんなに満足したことはなかった。クライアントJavaアプリケーションは高速化し、ますます信頼でき、開発が容易になっている。そして、これはSwingおよびJavaFXアプリケーションのどちらにも言えることである。 JavaFXの1.0リリースに引き続き注目したい。われわれが取り組んでいることを見たら、おそらくうれしく思うだろう。Javaプラットフォーム上に GUIデベロッパがいれば、胸が躍るようである」。
Sunが公式にJavaFXに全力を傾け続けるという状況は明らかである。AdobeのMAXカンファレンスでSunはJava FX Desktop 1.0が12月初旬(現時点で12月4日と設定)にシップされ、 JavaFX MobileおよびTVは2009年の第1四半期にデリバーされることを繰り返し言っていた。さらにSunは、昨年以来JavaFXに携わるエンジニアを AppleやAdobeなどから積極的に採用してきた。しかしながら、ソフトウェアはSunの純利益にほとんど貢献しないという事実がある。会計年度 2009年の第1四半期のSunのソフトウェア部門の収益は、$124,000,000であった。ストレージは、$507,000,000であり、サーバ など他のシステムは、$1,246,000,000であったことからもそのことが分かる。個人に対する通知をせずに、およそ6,000人の従業員の解雇を発表したので、Sunだけでなく広くJavaコミュニティにも、ある一定の不安が漂ったことは容易に理解できる。JavaやSwingに貢献しているデベ ロッパにとって、Java 7のSwingに対するSunの計画が不透明なことは、本当の意味での不安となっている。