Visual StudioのゼネラルマネージャであるJason Zander氏は近ごろVisual Studio 2010 Tools for SharePoint(リンク)を発表した。このツールは退屈なタスクを自動化し、デバッギング作業をしやすくし、GUIで視覚的にデプロイやパッケージングを見ることができるようにすることを目的にしている。
この強化ツールの提供はSharePointディベロッパに長い間待たれていたことだ。これらのツールはMS FrontPageの申し子で嘲りの対象となっているSharePoint Designer(リンク)に取って代わるだろう。SharePointが乗り越えるべき最後の大きなハードルが不十分なツールと開発のしにくさにあると.NETコミュニティの多くの人が見ている。もしVisual Studio 2010 Tools for SharePointが約束通り提供されるなら、MOSS(リンク)がMicrosoft流IT開発における主要なウェブアプリケーションフレームワークになり、次第にパブリックな.NETウェブサイトでも一般的な選択肢になるだろうと多くの人が期待している。確かに、Visual Studioとの統合が進めば、これまでの.NETディベロッパもMOSSの基盤であるOS内蔵のWindows SharePoint Services(リンク)(Windows SharePoint Services)が簡単に使えるのだと気付くようになるだろう。
TechEd EMEAでのZander氏の基調講演では次の事柄が示された。
- ビルドとデバッグ
Visual StudioでSharePointプロジェクトのビルドとデバッグができるようになります。F5がSharePointプロジェクトでも使えるのです!
- サーバエクスプローラ
SharePoint ConnectionsがVisual Studio Server Explorerのオプションとして取り込まれます。ContentType、Feature、Template、List、Site、 Workflos、WorkspaceといったSharePointの標準的なオブジェクトが見えるようになります。このうちのいくつかについては、 Visual Studioのプロパティグリッドで属性を直接編集できるようになります。
- Windows SharePoint Services Project(WSP)のインポート
Windows SharePoint Servicesのパッケージファイルを生成する操作を自動化します。これまではパッケージファイルを生成するためにMicrosoft Cabinet Software Development Kit(SDK)に含まれるMakecab.exeのコンソールを使わないといけませんでした。そしてMakecab.exeを使うにはパッケージ内に含まれる全ファイルのリスト情報を持ったDiamond Directive File(.ddf)を用意する必要がありました。この作業の多くが自動化されることになります。
- Visual Web Part Designer
Web パーツを作成するための新しいWSYWIGデザイナです。このデザイナはユーザコントロールをSharePoint用のWebパーツとして読み込むこともできます。ASP.NETのユーザコントロールをSharePointで使えるようにしたWebパーツとして広く利用されているSmartPart(リンク)がありますが、それをより密接に統合したバージョンと言えるでしょう。
- Event Receiver ウィザード
Event Receiverを追加し、それをSourcesに接続することがビジュアルなウィザードでできるようになります。
- Workflowの統合
Workflow Project用の新しいASPXのWorkflow Initiationフォームが追加されます。Workflow Initiation フォーム用のビジュアルなデザイナも付きます。
- Packaging Editor
Packagingを編集したりSharePoint FeaturesやWSPファイルを組み立てることのできる新しいPackaging Explolerが出ます。
Channel 9(Microsoftのマルチメディアによる情報配信サイト)ではOfficeおよびSharePointツール担当のシニアプログラムマネージャであるReza Chitsaz氏にインタビュー(リンク)がおこなわれた。この中でChitsaz氏はSharePoint開発のしやすさを向上させるというチームのミッションについて語っている。
SharePoint のバージョンは4.0になります。それに対しVisual Studio 2010 Tools for SharePointのバージョンは1.0です。このことから分かるように、私たちはいくつかの機能について優先的に取り組み、他の機能は次のバージョンで対処しようとしています。
チームの全体的目標となっているのは、SharePoint開発をより取っつきやすいものにし、どんなタイプのディベロッパでもより簡単にVisual Studioに触れることができ、より簡単に独自のSharePointアプリケーションを作成できるようにすることです。
今私たちは「F5機能」を向上させることに集中しています。Visual Studioを立ち上げ、プロジェクトを作成し、Visual Studio ToolsでSharePointに必要なものを作成し、あとはF5を押せばプロジェクトのビルドやSharePointのデプロイ、デバッガのアタッチといった残りの作業を自動的におこえるようにするのです。私たちはディベロッパがコードのテストやアプリケーションのデバッグを簡単にできるようにしたいと考えています。
Chitsaz氏はさらにデモを使って説明をおこなった。彼は「複数のファイル間でのGUIDマッチ」、 Applicatiton Pool Recycling、MSBuildのサポートを特に強調していた。またVB.NETとC#で新たに利用可能になるVisual Studio Templateも披露した。
- ブランクサイト定義
- Content Type
- List定義
- ステートマシンのWorkflow
- WSPのインポート
- Business Data Catalog
- Deployment Module
- Event Receiver
- 連続Workflow
- Webパーツ
ツールが利用可能になるリリース日は触れられなかった。Visual StudioのCTP(Community Technology Preview)版(リンク)は公開されているが、SharePoint用ツールは含まれていない。Visaul StudioチームのプログラムマネージャをしているChristin Boyd氏もChannel 9のフォーラムでこう語っている。
このビデオでRezaの話した新しい機能はVisual Studio 2010 CTPにはなく、Beta 1にも入りません。このビデオは将来についてのまさしく「ちら見せ」なんですよ。