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2009年のSOA予測

一年のこの時期になると、業界は過去12ヵ月を振り返り(参考記事・英語)、先行きを予測しようとする傾向にある。たとえば、Eric Roch氏は2009年のトップ10を予測しているが、その中には以下が含まれる(リンク):。

2. 大規模なSOAソフトウェアプロジェクトは中断になり、その代わりに明確なROIを伴うインクリメンタルなプロジェクトが支持されます。

4. SOAソフトウェアの大手ベンダーは提供物の差別化を図るのが難しいので、ソフトウェアの費用が下がります。

5.経費を抑える一方法として、ITはオープンソースのSOAに目を向け、そして導入が加速するにつれて、商業的にサポートされるプログラムの使用を止めることが多くなり、オープンソースの利益になるよう圧力をかけるでしょう。

7. SOAやWOA、RESTといったわかりにくいアーキテクチャ用語は、そうした技術をサポートするツールの区別が不明瞭になるため、関連性が低下してきます。

Roch氏の投稿に対して、Mike Kavis氏(リンク)が次のようにつけ加えている。

クラウドコンピューティングがSOAからhype machineを乗っ取り(まだ乗っ取っていないとすればですが)、これまでSOAで行ってきたのと同じ議論がクラウドでも行われるであろう、とも私は予測します。次のような議論を覚えておいででしょう。本物vs.次の一時的流行、ビジネスと対話するvs.ビジネスと対話しない、セマンティックスや専門用語に関するあらゆる論争、などです。

別の記事ではJoe McKendrick氏が簡単なレトロスペクティブ(ふりかえり)から始めながら、多少の予測を試みている(リンク)

2008年はサービス指向アーキテクチャにとって、最高かつ最悪の年でした。SOAは企業の至るところへどんどん浸透していったように思われ、多数の企業が概してこれまでの成果に肯定的であるように思われました。それと同時に、反SOAによる反発と、ROIやSOAのビジネス的価値に対する懐疑的な見方にも事欠きませんでした。

McKendrick氏の予測は次のような点で、Roch氏の予測と一致している。

1)経済の混乱により、SOAはそのルーツ、つまりボトムアップで、インクリメンタルなものに戻るでしょう。 不確実な経済は2009年を通して続くでしょうが、回復段階に入るでしょう。だからといって、危機的に競争の激しい環境に変わりはなく、企業は引き続き、合理化と経費削減のソリューションを模索するでしょう。これはSOAをベースにした実践では本来の役割です。WebサービスとSOAは、ビジネスにおけるITの効果と価値を最小の追加投資で増大させる方法として、2001年の景気減速後に案出されたものであることを思い出してください。

3)社内クラウドと超小規模なアウトソーシング。組織内でユーザーとシステムにサービスを提供する「社内クラウド」については、業界でも盛んに議論されています。社内クラウドのよい点は、もちろん、アプリケーションとデータをより制御できることです。SOA本来の役割であることは明白で、SOAは出現してくるあらゆる社内クラウドのバックボーンとなるでしょう。この役割の一環として、SOAはグリッドコンピューティングや仮想化でもさらに大きな役割を担うと思ってください。

Dana Gardner氏(リンク)は、様々なアナリストによる企業ITやSOA、クラウド、ビジネス・インテリジェンスに関する予測を報告しています。

高度のビジネス・インテリジェンス(BI)。極限のBIでは、B2BおよびB2Cの両活動全域で顧客が実行をいとわないことと、支払いをいとわないことに関して推測するために、大きなデータセット、大きなコンテンツのセットに規模をアップさせ(リンク)、異種データや異種コンテンツをさらに混合・結合することが必要です。こうしたBI活動の支援として、マルチコアと並列処理の利用が増加し始めるでしょう。

クラウドコンピューティング。公共クラウドと私用クラウドという点から見ると(リンク)、未完成のクラウドが減り (リンク)、さらに、企業が機能性を獲得したり、アプリケーションやプラットフォームを獲得したりする方法という点から見ると、クラウドはどちらかというと成熟した現実となるでしょう。クラウドは階層化するでしょう。つまり、GoogleやMicrosoft、Amazonといったクラウドを提供するベンダーは、クラウドの中に完全なスタック(階層)を構築し、その中には適切な層、アプリケーションコンポーネント、統合サービス、プラットフォームのすべてが含まれるのです。ですから業界は2009年、クラウドのリファレンスモデルにもっと群がるようになるでしょう。

ガバナンス、リスク、遵守(GRC=Governance, Risk and Compliance)。政府が断固たる処置を取っています。 政府が金融サービス産業や自動車産業、その他の産業を救済しなければならないなら、付帯条件一切なしで救済することなどあり得ません。政府が救済する産業は、遵守や規則、報告義務といったGRCの全メカニズムの義務を負うことになります。

オープンなクラウドサービス。クラウドコンピューティング活動で見られる大きな欠陥は、これまでのところ、存在するソリューションのほとんどが、プロプライエタリであることです。データベースソリューションでさえプロプライエタリです。使用するAPIやインターフェース、標準セットが異なることになります。現在存在する様々な提供者に、そして提供者間に、より信頼性の高いインフラを提供するには、多数の企業の参入が必要です。

SOAの視界は曇り。ドメイン間のSOA技術に、より焦点が当たるようになります。SOA空間で迅速な価値をもたらし、そうした価値を正当化するための短期的な戦術と能力が重視されることに変わりはなく、そうすれば追加の資金供給が得られます。こうした事柄の構築を始めるにつれて、人々はSOAプロジェクトを実装中の部門を観察し、いかにして企業レベルでこうしたものを結びつけるかを解明しようとするようになります(リンク)。私はこれをマイクロドメインvs.マクロドメインと呼んでいます。マイナス面は、SOA技術に劣る世の中のベンダーには、成功の見込みがなくなってしまうことです。買収されず、あるいは変曲点に到達できなかったベンダーは…いずれは撤退せざるを得なくなります。そして、2009年はそれが起こる年です。まさに活力がなくなってしまうのです。SOAはキャッチフレーズができる前から存在し、「SOA」という用語が作られた後にも誕生することになります。SOAは様々なものに形を変え(リンク), 、クラウドコンピューティングの傾向がSOAに入り込み、SOAを異なる方向に定義するようになります。SOA活動全体が、クラウドによってさらに定義されるようになります(リンク)

最後になるが、Zapthink(リンク)は独自に2008年のレトロスペクティブと予測を行っており、その冒頭は次のようになっている。

[…]広く報道される重要なSOAの失敗が少なくとも1つと、広く報道される重要なSOAの成功が少なくとも1つはあるでしょう。来年の今頃、この予測が当たっていたか正確に判断できるように、条件を明示しましょう。「広く報道される重要な」ということは、少なくとも主要IT業界誌1誌、そして恐らくは大手の国際紙1紙でも、問題の企業が毎日取り上げられることを意味します。成功もしくは失敗は、とりわけ組織のSOA導入に起因する、重大なビジネス的影響を与えます。成功した場合、それは特定のSOAプロジェクトに直接的に起因する、特定の収入や製品のリリース、合併・買収のチャンス、債務の減少を意味するかもしれません。失敗の場合は、SOAへの巨額投資を意味し、その「失敗」(問題の企業が決定するところの「失敗」)により、収入や市場シェア、チャンス、遵守の喪失が発生し、あるいは、その他のマイナスの影響がもたらされたということです。いずれにしても、来年のこの時期には、SOAに起因する明白な成功が少なくとも1件、明白な失敗が少なくとも1件あったと認めることになるでしょう。

今後の予測についてZapthinkは、他でも聞いたクラウドコンピューティングとSOAについての見解を共有している。

年の瀬が迫るにつれ、クラウドコンピューティングやクラウドに関連した事柄について、すでにさらにたくさん耳にするようになっています。私たちの予想では、クラウドに関連したおしゃベり騒ぎが、来年の今ごろには真のうねりに変わっています。大手の全ベンダーはSOA関連のあらゆることを、恐らくクラウド関連の何らかに変えているでしょうし、企業は必死になってSOAイニシアチブをクラウドイニシアチブに変えようとするでしょう。クラウドコンピューティングをこのように重要視することがSOAとITの将来にとって望ましいことか否かは、時間が経てばわかるでしょうが、クラウドコンピューティングで出現しているテーマの中には、SOAで学んだことが大いに役立つというテーマもあると期待しており、そしてサービス指向のクラウドコンピューティング・イニシアチブが2009年の例外ではなく、通例となることを期待しています。

ここで紹介した予測の中で的中するものがあれば、どの予測が的中するかは時間が経てば自ずと判明する。しかし、クラウドコンピューティングやガバナンス、小規模SOAのような特定のトピックについて、みなの意見が一致しているのは興味深いことである。

 

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/12/soa-predictions-2009

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