Adobe社はリアル・タイム・メッセージング・プロトコル(RTMP)の仕様を公開する計画(リンク)について発表した。RTMPはAdobe Flashプラットフォーム上の技術間でオーディオ、ビデオ、そしてデータを高性能に伝達するために設計されたものである。AMF仕様(参考記事)に続く今回の公開はRIAコミュニティから多くの熱い視線が注がれている。
RTMPはFlash Playerとサーバの間でオーディオ、ビデオ、そしてデータをインターネット越しにストリーミングするためにAdobe Systems社が開発したプロプライエタリなプロトコルである。これには3つの種類がある。
- TCP上で機能する"標準的な"プロトコルは1935番のポートを使う
- ファイアウォールを通過するためにHTTPでカプセル化するRTMPT
- RTMPSはRTMPTと同じような機能を持つが、セキュアなHTTPS接続を使う
Flashのための持続的なプロトコルを作ることがRTMPを開発する主要な動機でしたが、RTMPはAdobe LiveCycle Data Services ESのように他のアプリケーションからも利用されています。
Adobe社でPlatform Evangelistとして勤めているRyan Stewart氏は、RTMPの現在の方向性に自信を示し発表された公開計画については楽観視しているようである(リンク)。
Adobe社内のDigital MediaグループはRTMPに多くをもたらしてきました。過去数年の間に、RTMPEと呼ばれるRTMPを暗号化対応させたものを含む多くのセキュアなRTMPを提供してきました。RTMPEはコンテンツ・プロバイダが自分たちのコンテンツを保護しながら、98%のコンピュータが搭載していると言われているFlash Playerを通してそれらのコンテンツを利用出来るようにしています。これらセキュアなRTMPによってHulu(リンク)のようなサイトの運営が出来るのです。というのもコンテンツの製作者たちが、自分たちのコンテンツを自由に提供しながら保護できるということを確信できるからです。
これらのセキュリティ対策はAdobe社がRTMP上に構築した技術のほんの一例に過ぎません。そしてこれらは公開予定の中心的な仕様には含まれていないのです。一般的にはこれは開発者にとってよりよいニュースとなるでしょう。Adobe社ではそれらを開発するのに多くの労力を費やし、人々のコンテンツを保護するための素晴らしいソリューションを手に出来たと考えています。しかし、公開されるRTMPの仕様には開発者がどのようにセキュリティやピア・ツー・ピアのような機能を実装すべきなのかといったルールは一切ありません。どのように実装するのかについては開発者に委ねているのです。このことによってAdobe社はRTMP全体を拡大し、最高のソリューションを得るための健全な競争を促進することが出来るのです。Flashプラットフォームのあらゆるユーザ、開発者からエンド・ユーザまで、がその恩恵を授かるのです。
今日、Adobe社は可能な限り公開し続けることでRTMP関連のコミュニティを拡張し、革新と健全な競争を促進しています。RTMPが提供する全てのもの - データ、ビデオ、オーディオ - と現在開発者やサード・パーティにもたらされているあらゆる可能性について考えると興奮せずにはいられません。このことはFlashプラットフォーム周りのコミュニティに爆発的な革新をもたらすでしょう。
RTMPの公開によってCometが奮闘する(リンク)と考える人たちもいるようである。
(RTMP)はサーバからのデータ・プッシュを可能にする確固たるプロトコルです。割り当てられた固有のポートに対して使えるだけではなく、HTTPやHTTP(S)越しのトンネルでも使うことが出来ます。これまでのところオープン・ソースやオープン・スタンダードなデータ・プッシュの分野ではCometがリードしています。しかし今まさにRTMPとのタフな競争に直面しようとしています。
これらのニュースはCisco社、Intel社、LG社、Marvell社、Motorola社、Nokia社、NTT DoCoMo社、Qualcomm社、Samsung Electronics Co.社、Sony Ericsson社、Toshiba社、Verizon Wireless社*といった産業界のリーダー企業がサポートするOpen Screen ProjectにAdobe社が参加する(リンク)という発表後に続いたというのが重要です。
このプロジェクトはテレビ、パソコン、モバイル機器、家電製品を通してリッチなインターネット体験を得られるために献身するプロジェクトです。
この使命をまっとうするため、そしてWebの革命を可能にするという宣言を推し進めるため、Adobe社はFlash関連技術へのアクセスをオープン化し続け、コンテンツやリッチ・インターネット・アプリケーション(RIAs)のデプロイを加速していくでしょう。この取り組みには以下のものが含まれます。
- SWFやFLV/F4Vの使用を利用する際の制約を取り除く
- Adobe Flash Player向けのDevice Porting Layer APIを公開する
- 堅牢なデータ・サービスを提供するためのAdobe Flash(R) Cast(TM)プロトコルとAMFプロトコルを公開する
- ライセンス料を廃止 - 次期メジャー・リリースとなるAdobe Flash PlayerとAdobe AIRのデバイス機器への搭載を無料化する
時が経てばJavaFXに対するAdobe社の取り組みが(リンク)RIA技術のプロバイダとしての同社の地位を維持するのに十分なものであるかどうかが分かるだろう。
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