jsFiction は jsDraw2D をリリースすると発表した。このJavaScriptライブラリを利用すると、開発者は基本図形(多角形、円、円弧など)、図形の塗りつぶし、ベジェ曲線(1次、2次、3次)などのグラフィックスを描画することができる。また、座標系のデフォルト原点をそのグラフィックスを含むdiv要素の任意の位置に変更して、デフォルト座標系かカルテシアン座標系のいずれかを選ぶことも可能だ。図形のスケールを指定することもできる。
jsDraw2Dは、Web開発者にJavaScriptネイティブで高度なグラフィックスを実現する機能を提供する製品の仲間入りをした。こうした製品はまだ少ないが、ますます増加している。多くの競合製品と同様に、この製品が利用できるのは、IE 7、Mozilla Firefox 3、Google Chrome、Opera 9.64、Safari 4といった一部のブラウザに限られている。ブラウザはHTML5仕様の一部、特にcanvasタグの利用をサポートしている必要がある。
ここしばらく、Webブラウザで面白いグラフィックスを実現することが課題となっている。開発者はFlashやFlex(コードを実行するためのブラウザプラグインとともに)といった別の技術を習得したり、SVGやVMLといった低レベルのツールを利用する必要があった。そのため、グラフィック開発および配信を簡単にしようと、それに代わる手段がいくつか提案されている。Walter ZornのDHTML ライブラリは、JavaScriptベクタグラフィックライブラリに簡単な図形や線をもたらすものだ。Raphael はJavaScriptでSVGやVMLをラップするものであり、一貫したDOMオブジェクトを生成する。単純なグラフィックス機能を提供するJavaScriptライブラリの一例として、Ortho を挙げることができる。これらに対してjsDraw2Dは、他のライブラリでは提供されていない高度な機能(ベジェ曲線やスケールなど)をいくつか提供している。
おそらく最も高機能で有能なJavaScriptベースのグラフィックス製品は、SunのLively Kernel プロジェクトだろう。Lively KernelはMorphicのJavaScriptによる実装だ。Morphicというグラフィックスシステムはもともとプログラミング言語Selfのために開発されたのだが、ほとんどの場合、遭遇するのはSqueak (Smalltalk) のなかだろう。Lively Kernelには開発ツールが含まれており、JavaScriptアプリケーションをシステム内部から調べたり、修正したりすることが可能だ。残念ながら、現在、Sunはこのプロジェクトを打ち切っており、その将来はオープンソース界にゆだねられている。
jsDraw2DはjsFictionが提供する最初の製品だが、彼らには、"JavaScript開発者、Web開発者、WebマスタたちがJavaScriptの可能性を広げて機能を拡張するのを助けるような、様々な革新的なJavaScriptライブラリやアプリケーションを開発する"という計画がある。jsDraw2DはLGPLライセンスのもと、オープンソースとして利用可能だ。