Sunは今週、JavaFX 1.2を発表した。JavaFX 1.2では、プラットホームが大幅にアップデートされており、これには、言語レベルの変更、多くの共通チャート・タイプ(面グラフ、棒グラフ、バブルチャート、折れ線グラフ、円グラフ、散布図、X/Yグラフなど)をサポートする新しいチャートAPIや、LinuxおよびSolarisプラットホーム用ベータ・サポートなどが含まれる。
チャートAPIのほかにプラットホームの耳寄りな追加機能として、より多彩なPure JavaFXコントロール群 (ボタン、ListView、完全にスキナブルなProgressBarやSliderなど) 、レイアウトAPIやレイアウト・クラスの改良、RSS/Atomフィードのサポート、ローカル・データ記憶領域、起動時間の大幅な改善、などがある。
SunはJavaFX Scriptにさらなる磨きをかけており、1.2リリースでは、おもに簡略化に重点を置いた重要な変更が数多くされている。特に注目すべきは、JavaFX Scriptでmixinを採用し多重継承のサポートを廃止した点だ。JavaFX 1.1では、1つのJavaFXクラスは複数のクラスやインターフェースを継承できた (継承可能なクラスには複雑な規約がある)。JavaFX 1.2では、1つのJavaFXクラスは、 1つのクラスしか継承できない (非mixinクラスの場合) が、mixinクラスはいくつでも継承可能だ。mixinは、標準クラスと似ているが、宣言部にmixinモディファイアを持たず、直接インスタンス化できない。mixinは、Javaのインターフェースに類似しているが、mixinを継承するすべてのクラスによって共有される変数と実装を持つことができるという点で異なる。また、小さな言語変更もいくつかされている。完全なリストは、こちらで見ることができる。
当然のことながら、JavaFX 1.2 SDKのリリースは、JavaFX 1.1 SDKとのバイナリ互換がない。jarあるいはサードパーティのJavaFXライブラリを使用する場合、新しいリリースでは再コンパイルが必要となる。
JavaFXのツールには、普及しているEclipse IDEのサポートが限られている点やオーサリング・ツールがない点などの問題があり、この2つの問題は、かなり注目されてはいるものの、依然として残っている。Neil Bartlett氏は、Sunの誘いを受けてEclipseプラグインの改良に取り組んでおり、自身のブログで次のように述べている。
「大変喜ばしいことに、私がプラグインを強化するのに必要だと考える方法は何でも自由にさせてもらえました。とはいえ、あいにく、ローマは一日にして成らずと同様、十分な機能を有する言語のIDEも6週間ではつくれません。そこで、私はどこに力を集中させるべきか決める必要があり、おもに未開拓であるコード・エディタのユーザビリティに的を絞ることに決めました。このため、オートインデントと中括弧の自動挿入、オートコンプリート、エラーの連続フィードバック、コードブロックの折り畳み、Eclipseのアウトライン・ビューとの統合を追加しました。また、コンプリート時や識別子の上をマウスが移動する際に、JavaFX APIドキュメントのポップアップを目にするはずです。」
SunのNandini Ramani氏 (JavaFXプラットホームのエンジニアリング・ディレクタ) は、JavaOneでJavaFXオーサリング・ツールのデモンストレーションを初めて公開した。まだ名前のないこのツールは、ネットワーク上のチーム・コラボレーションをサポートするよう設計されている。これにより、グラフィカル、音声、画像アセットのインポートや作成が可能となり、開発者は、インタラクション、動画、視覚的効果を追加できる。他の動画ツール同様、グラフィカル・アセットは、タイムラインで制御されるシーンへと処理される。ドラッグ・アンド・ドロップ・ジェスチャーを使うことで、アセットを取り込むことができ、動画の表示にタイムラインの関連づけが可能となる。Javaランタイムがどこにあっても、出来上がったアプリケーションを利用できる。また、このツールによって開発者は1つのアプリケーションから同時に複数のデバイスをターゲットとすることができる。Sunは、年末までに製品の一般公開を予定している。
ブラウザ、デスクトップ、モバイル機器に加えて、Sunは 、Blu-rayディスク標準のBD-Jにおける成功を利用してテレビにもJavaFXを取り込んでいる。Ronan McBrien氏 (SunのJavaFXアーキテクト) は、JavaFXアプリケーションのデモを行い、映画や他の製品のプレビューや、LG Electronics社製の42インチテレビへのダウンロードを披露した。
多くのコミュニティ・メンバは、OracleがJavaFXに対してSunと同様のコミットメントを維持するか疑問を抱いていた。Oracleが買収完了前に製品戦略の見通しを述べるのはまれなことだが、予想外の動きを見せ、Oracleの最高経営責任者Larry Ellison氏は、JavaOneでJavaFXに対する公的支援を申し出ており、OpenOfficeグループがスイートの次期バージョンで予定しているUIリデザインの検討材料として取り込むよう提案した。