Phoenix TechnologiesはブラウザのみをサポートするOS、HyperSpaceを開発した。HyperSpaceはGoogle Chrome OSに組み込まれる予定の機能とほぼ同じ機能を提供する。
デュアルブート環境がプレインストールされているラップトップはたくさんある。それらのメインOSはWindowsだが、もう一方のOSは最低限の機能のみですばやく起動できるLinuxであることが多い。PCの大部分に導入されているBIOSを提供するPhoenix Technologiesは、特定のラップトップにプレインストールされているのではなく、サブスクリプション形式でダウンロードして使用することのできるHyperSpaceを開発した。
Phoenixによれば、
HyperSpaceは瞬時に起動することのできるセキュアなコンピューティング環境です。これはWindows Vistaのようなメインのオペレーティングシステム（OS）と同時に、かつ独立して実行することができます。HyperSpaceプラットフォームはコアシステムファームウェアであるBIOSに組み込まれている、HyperCore(TM)と呼ばれるPhoenixの高性能のハイパーバイザによって実現されています。HyperCoreは特殊化されたコアサービスとしてWindowsと同時に動作するゾーン式仮想マシンモニター（ZVMM）です。
HyperSpaceは実質的に、最低限の機能だけを持つLinuxカーネル上に構築された基本的なPC環境である。Mozillaベースのブラウザを備えており、プラグインによりPDFを表示することはできるが、今のところローカルに保存することはできない。メディアセンターパッケージ（DVD、フォトビューア、音楽プレイヤ）、メッセージセンターパッケージ（Eメール、インスタントメッセンジャ、VoIP）、エンタープライズセンターパッケージ（Citrixクライアント、VMWare、Windowsリモートデスクトップクライアント）などのアドインパッケージも計画されている。
HyperSpaceには、HyperSpaceデュアルとHyperSpaceハイブリッドの２種類がある。どちらでもHyperSpaceかWindowsのどちらか一方だけの起動は可能で、ハイブリッドエディションではさらにWindowsと並行してHyperSpaceを動作させることができる。HyperSpaceが動いている間、Windowsはスリープモードになっており、F4キーで両者を切り替えられる。
HyperSpaceのブートやシャットダウンの時間はほんの数秒で、即時起動可能なネットブックに最適である。また、動作するアプリケーションはブラウザのみで、最小限の機能だけを持つLinuxカーネル上で動くので、非常にセキュアである。同一のラップトップで同じ操作をした場合、Windowsに比べてバッテリの寿命は25～30%延びる。
現時点では、HyperSpaceにはかなりのハードウェア的な制約がある。デュアルエディションは32ビットのWindows XPもしくはVista、ハイブリッドは32ビットのVistaが必要である。サポートしているグラフィックカードはIntel 3000、3100、X3000、X3100、X3500、X4500に限られ、ハイブリッドモードで動作させるためにはラップトップに最低2GBのメモリを積んでおかなければならない。HyperSpaceの動作が保障されているのは少数のネットブックとラップトップだけである。
製品はサブスクリプションベースで提供されており、デュアルエディションの価格は1年で40ドルもしくは3年で100ドル、ハイブリッドエディションの価格は1年で60ドルもしくは3年で150ドルとなっている。
Google Chrome OSがどういう道を歩むのかを見るのは非常に興味深い。Chrome OSはそもそもネットブックのために開発されたので、おそらくWindowsとのデュアルブートにはならないだろうが、デスクトップをターゲットとした将来のバージョンで同様の機能を提供するだろう。