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エンタープライズアーキテクチャは中小企業にも適合するのか?

原文(投稿日:2009/09/16)へのリンク

エンタープライズ・アーキテクチャ(EA)は、大企業にとって必須のツールであるが、それは大企業がEAを使う上で必要な人的経済的リソースを割くことができるからだと考えられている。しかしそのような想定に対し、EAは中小企業にも使えるとして疑問を投げかける声もある。

エンタープライズ・アーキテクトでコンサルタントでもあるMike Kavis氏は、現在小さな新興企業(20人)に勤務している。氏は自分たちがEAの方法論を用いており、それはEAの方法論が自分たちにとっても価値があるものだからだと言う。

私たちが最初に行ったのは、2日間に渡ってCEOや創設者のビジネスに関するアイデアをブレインストーミングすることでした。そして、ビジネス・アーキテクチャを作成し、それを1枚のスライドに視覚的に表現しました。この絵によって、私たちのビジネスを技術側の人間にもそうでない人にも説明することができるようになりました。企業の全エコシステムを把握することで、ビジネスモデルを分析し、それを推敲することがすぐにできるようになったのです。それにより、エコシステムのどの部分で競合し、どの部分でパートナと提携するかを決定することができました。実際この見える化したモデルを作る前には、そうすべきではない領域で競合しようと計画していたのです。

Kavis氏によると、EAが持つ全てのスタックを使うのではなく、対象と使えるリソースを考慮しながら、計画立案とビジネス要素のうち意味のあるものを使っているのだという。

私の企業はフルタイムの従業員、アドバイザ、コンサルタントを合わせて20人もいません(サイズ:小)。企業の文化は、先天的に起業家精神にあふれる年季の入ったベテランによって作り上げられています。サポートしてくれる個人投資家によって資金的に支えられているので、予算は限られています。しかし、きわめて才能があるエンジニアとビジネスドメインについて何年も積み上げた知識を持つビジネス側の人間がいます。私たちはここ2、3年で出て行こうとは考えていませんが、20年間ここにいようとも思っていません(在任期間:中期)。私たちが望む成果とは、アジャイルになり、パートナや顧客との統合を容易にし、一流の組織として敬意を称されることです。そこで私はこの条件を分析し、目的を達成する上で助けになるであろうものとして、以下に挙げるEAの構成要素にたどり着きました。

  • ビジネス・アーキテクチャ
  • 3年~5年のビジネス・ロードマップ
  • ポートフォリオ管理(何について作業し、いつそれをするのか、優先順位をつける)
  • 各種技術の原案(インフラ、情報、など)

Kavis氏のポストに対するコメントとして、Colin Wheeler氏は3つの問いを自問自答している。

企業("enterprise")とは何か?
オックスフォード英語辞典によれば、企業とは共通の目標を持った1人ないし複数の個人と考えられます。
いつアーキテクチャが必要になるのか?
自らのビジネスをモジュールないしコンポーネントという観点からとらえ、それらを組み合わせることができる企業であれば、常にエンタープライズ・アーキテクチャが必要になります。
中小企業はEAを実践すべきか?
これに対する答えはきわめてシンプルです。もしアーキテクチャを実践することにビジネス的価値があるならばやるべきです。エンタープライズ・アーキテクチャは「非常に」軽量な方法で実践することができ、どんな企業に対しても重要な価値を提供することができるということを覚えておくべきです。

さらに別のコメントでは、Peter Evans-Greenwood氏が、中小企業がEAにアプローチするための軽量な方法を提案している。

現在TOGAFなどによって実践されているEAは、中小企業の中では居場所がありません。あまりにも高価すぎるのです。平均的なEAチームを運営するのに、給料だけで100万ドル以上かかっていては、多くの中小企業にとってその資金を捻出することは不可能でしょう。

そうは言っても、中小企業において、IT戦略に対するスマートでアジャイルなアプローチを求める声が確かに高まっています。その要求に対してどう応えるかを整理してみた時に、伝統的なEAとは違ったものに見えるというだけなのです。

著作家であり独立アナリストでもあるJoe McKendrick氏は、Kavis氏のEAは巨人だけのものではないという考え方に賛同している。

EAは大企業よりもむしろ中小企業にとってよりクリティカルかもしれません。それなのに、大企業だけがEAを必要とするという誤解があるのです。

McKendrick氏はIFEADの定義を引用し、そこで大きな組織に言及されていないことを指摘した上で、EAはどのような企業にも適用できると結論付けている。目的を達成するための努力と考えられるというのだ。

エンタープライズ・アーキテクチャは企業を一通り全て表現したものです。これはマスタープランであり、ビジネスの諸相の間で「協力する力としてふるまう」ものです。ビジネスの諸相としては以下のものがあげられます。目的やビジョン、戦略やガバナンスの原則のようなビジネス・プランニング。ビジネス用語や組織構造、プロセスやデータといったビジネス・オペレーション。情報システムやデータベースといった自動化。コンピュータやOS、ネットワークといったビジネスの技術的なインフラ。

ビジネスコンサルタントであるBrenda Michelson氏は、Kavis氏に宛てたつぶやきで、問題を実に適切にとらえている。

問題なのは、EAについて、機能を提供するための価値と実践ではなく、巨大なフレームワークと厳格なガバナンスであると考える人が多いということです。

EAがTOGAFのような巨大フレームワークと密接に結びついているなら、中小企業ができることは何もない。単純にそのための資金がないからだ。しかしもしEAが実践と価値なのであれば、意味のあるものだけを使うことによって、きわめて小さいビジネスに対してでも勧めることができるものとなる。

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