9月23日、Intel Development Forum 2009でIntelはWindows 7上で IIS Smooth Streamingを実行するデモを見せたが、同時に同社のAtomプロセッサを搭載したMoblinデバイスでもIIS Smooth Streamingを実行してみせた。このことから、Moonlightとは別に、SilverlightをLinuxへ移植する試みがなされていることが伺える。
IntelのSoftware and Services Groupのバイスプレジデントでありゼネラルマネージャでもある Renee James氏によれば、同社は“Atomを基盤にしたモバイル端末向けの製品に注力して発展させたい”と考えている。なぜなら、"現在、市場ではネットブックが最も人気のあるエンドユーザ向けデバイスのひとつになっているが、画面が小さいことと、アプリケーションが携帯端末用に最適化されていないので、ネットブックの真価はまだ発揮されていない。”からだ。こうした状況の中、いくつかの大手コンピュータメーカーがMoblinを搭載したネットブックを発表した。発表したのはDell、 Acer、 Asus、そしてSamsungといった会社だ。また、Canonical、CS2C、Linpus、Mandriva、Novell、Phoenix、そしてTurbolinuxのようなLinuxディストリビュータも、Moblin 2をベースにしたオペレーティングシステムを発表している。
Atomベースのデバイスでは、WindowsもMoblinも動作する。MoblinはオープンソースでFedoraをベースにカスタマイズされたLinuxであり、ネットブックやハンドヘルドPC、スマートフォンや自動車内コンピュータでの利用が想定されている。2007年、IntelはMoblinプロジェクトを開始し、その後、このプロジェクトはLinux Foundationへ移管された。
Intelが見せたのは、Windows 7とAtomデバイス上のMoblinの両方でIIS Smooth Streamingを動作されるデモだ。さらに、来年の初頭にはMoblin上でSilverlightを利用できるようにすることを約束した。これを実現するため、同社はMicrosoftと協力を得て、Silverlightのソースコードとテストスイートを提供してもらう。見返りにMicrosoftが得るのは、Moblinへ移植されたSilverlightだ。これが実現すればWindowsやAtomで動作させるために作ったアプリケーションはMoblinでも動くようになるだろう。Microsoftの見解は、
この動きは、我々が現在Novellと共に行っている努力をはっきりと拡張するものです。我々は、“Moonlight”と呼ばれるSilverlightのオープンソース実装を開発中です。Moonlightは様々なディストリビューションのLinuxベースのPCが利用することを想定しています。
なぜSilverlightのLinux向け実装がもうひとつあるのか。その理由ははっきりしていないが、Atomデバイス上でFlashも動作させたいと考えているIntelがこの計画を積極的に押し進めているのかもしれない。実際の移植作業をIntelがすべて引き受けてくれるのだから、Microsoftもこの機会を逃したくはないのだろう。Silverlightのアプリケーションが.NETランタイム上で動くのか、それともMoblinのネイティブコード上へ移植されるのかもわからないが、後者になる可能性が高い。