Greg Kroah-Hartman氏は最近、自分が公開したLinuxカーネルのパッチをMicrosoftが検証していないと書いた。しかし、Sam Ranji氏が我々に保証したのは、Microsoftはこれら200ものパッチに対してテストをするのに忙しかった、ということだった。
Hartman氏はNovell社のフェローで、SUSE研究部門のLinuxドライバプロジェクトで働いている。氏はMicrosoftに対して、Hyper-Vで使っているLinuxドライバをLinuxカーネルへ提供するように話を持ちかけた人物のひとりだ。しかし今、氏はがっかりしている。というのは、氏がLinuxカーネルとの互換性を保つために多くの作業をした後、Microsoftは自分たちが公開したコードを更新することに興味を示していないように思えるからだ。
hv (Microsoft Hyper-V)ドライバです。200を超えるパッチを力を入れてきれいにしました。これらのパッチのコードを現在はまだ完成していないカーネルのコーディングスタイルと合わせるためです(この仕事をしたことで私に対してラム酒一杯ぐらいの恩ができる人もいるでしょう!)。しかし、残念なことにMicrosoftの開発者はいなくなってしまったようです。というのも誰も私のメールに返信してくれないのです。もし、彼らがこれらのパッチを求めているという証拠をすぐに見せないのなら、私は2.6.33のリリースからこれらのパッチを除くつもりです。これはとても悲しいことです...
InfoQはSam Ranji氏に話を聞いた。氏はMicrosoftのLinuxおよびオープンソース戦略を率いるシニアデレクターだ。MicrosoftはLinuxカーネルへの貢献に対する考えを変えたのか、と問いかけたところ、氏は最新情報を教えてくれた。それによればHartman氏の作業は決して無駄になっていない。
我々は、Linux用のHyper-Vのドライバについて、大きな労力を使って作業を続けています。直近の数週間を使って、コミュニティによって公開された200ものパッチのテストを行いました。ご存知のように、パッチの適用作業とテストは大変な作業です。今、この作業も終わりに近づいています。これからもロードマップに従って開発を続けていきます。この中には、Hyper-V上のLinuxでSMP (対称型マルチプロセッシング)を使えるようにする開発も含まれています。この開発にはMicrosoftのオープンソーステクノロジセンターとWindows Server仮想化エンジニアリングチームの数人のエンジニアとテスターがフルタイムで従事します。
一方、Mary Jo Foley氏は Microsoftのスポークスマンへの質問をレポートしている。氏が尋ねたのは、“MicrosoftがHyper-VのドライバのコードをGPL下で公開することを考え直しているか”だ。
スポークスマンはそんなことはないと答えました。Hyper-Vのドライバに対して責任を負っている主要な人物が過去2週間にわたってヨーロッパを周っていた、とのことです。それは、“様々なOSS(オープンソースソフトウエア)のコミュニティや利用者と会合を行う”ためだそうです。
ちなみに、当月末にRanji氏は同社を辞める。このことは、Microsoftのオープンソースに対する貢献についての問題点として理解することもできるだろう。この退社は完全に個人的な問題が原因だとRanji氏は我々に語った。氏はシリコンバレーのクラウド関連のスタートアップに参画する予定であり、現在はCodePlex財団の暫定プレジデントに就任している。