チームワークの分野のソートリーダーが主張するには、多様性のあるチームの方がより優れた業績を生み出す、とのことだが、複雑適応系分野の研究も同様の結果を示している。最近、Twitterや様々なブログで、ITコミュニティに多様性が欠けていることにまたもや関心が持たれていて、議論の対象になっている。例えば、"ソフトウエア開発には女性がほとんどいない"という問題はいつも議論の俎上にあがる。この話題が議論になりやすいのは、技術系のカンファレンスに行けば痛いほど明らかな事実だということがわかり、話題としては他のマイノリティに関わる話題も扱いやすいからだろう。
北アメリカでは歴史的にみると、ITコミュニティの10%から20%を女性が占めている。しかしいくつかの カンファレンスでは、プレゼンを行う人の中で女性の割合は10に満たない(女性のスピーカーが全くいないカンファレンスもある)。男性に比べて、IT分野を選択する女性が圧倒的に少ないのは事実だが、この事実がすべての原因だと考えると、平均すれば上級のスピーカーの中で10%から20%を女性が占めるはずだ。しかし、ほとんどのカンファレンスでは、こういう光景は見られない。
様々な要因があるのは間違いないだろう。例えば、女性は家庭の事情を優先するためにカンファレンスへの招待を辞退する傾向にある、というのも要因のひとつだ。また、ハラスメントを受けた結果、なるべく目立たないようにしようとする女性もいる。しかし報告によれば、男性でも女性でもトップノッチのスピーカーを見つけるのは難しい。そしてこのような求められるスピーカーは、カンファレンスに招待されて話をする前に、小さな提案駆動型のカンファレンスで話す技術を磨き上げているだろう。女性がカンファレンスに提出する提案が少なくスピーカーも少ない原因は、よい提案を作成するために必要な自信(インポスターシンドロームを参照。これは女性に限った話ではない)や経験や情報が足りない、ということが挙げられる。
この問題に対して、Lisa Crispin氏は、例えば、女性のスピーカーは、経験の浅い女性がカンファレンス用の強い提案を作成するのを助けたり、もっと多くの様々な女性がITコミュニティにとっての公的な場に進出するのを促すような活動をする(このような活動は、他の評価されていない人々の表舞台への進出にも寄与する)ことを提案している。Jim Holmes氏は経験のない人がカンファレンス用の提案を書くのを支援すると申し出ている。こういう活動は、提案の提出を支援する側の人にとっても価値があるからだ。検索をすれば、初心者がカンファレンスへの参加方法を学ぶのを支援するために使えるリソースは他にも見つかる。Kathy Sierra氏による技術カンファレンスでのスピーチ作法も見つかるだろう。