Google Web Toolkitチームが新しいGWTのマイルストーン1のリリースを発表した。このバージョンにはいくつもの新機能とバグフィックスが含まれている。
Amit Manjhi氏の説明では、このバージョンには旧バージョンに慣れているユーザーにとって混乱を起こすかも知れない変更がいくつかあるという。
* 用語の変更:わたしたちは「ホストモード」ではなく「開発モード」という言葉を使い始めました。「ホストモード」は時として混乱を招くため、これからはより説明の明確な言葉を使うことにしました。同じような理由から、コンパイルされたスクリプトを使うモードを「ウェブモード」ではなく「本番モード」と呼ぶことにしました。
* ディストリビューションの変更:お気づきになるようにダウンロード対象はひとつだけになり、プラットフォームを特定しないようになりました。どの開発プラットフォームでも同じzipファイルをダウンロードすることになります。これは開発モードの実装で利用するプラグイン方式(以下参考)によって可能になりました。配布されるファイル自体にはブラウザ用プラグインは含まれていません。インストールされていないプラグインはブラウザで開発モードを最初に使う時にダウンロードされます。
氏はGWT v2の新機能についても述べている。
* ブラウザ内開発モード:2.0より以前では、ホストモードのGWTはデバッグのために「ホスト型ブラウザ」という専用ブラウザがありました。2.0ではデバッグ中のウェブページを普通のブラウザ内で見ることができます。開発モードはブラウザ各種用のネイティブコードプラグインを使うことで可能になっています。つまり、Safari、Firefox、IE、そしてChromeから直接開発モードを利用することができるのです。
* コード分割:ディベロッパはコードを複数の断片に分割することで起動を速くすることができます。動画でいえば、全体をダウンロードする前に見ることができるようなものです。今日のほとんどのAjaxアプリは使い始める前に全部をダウンロードしないといけませんが、このような分割がなされるべきです。コードを分割すれば最小限のスクリプトだけを読み込んでアプリケーションを実行してユーザとのやり取りを開始して、残りは必要に応じてダウンロードすればよくなります。
* 宣言型ユーザインターフェース:GWTのUiBinderはユーザインターフェースをほとんど宣言的に作ることができるようになりました。以前はプログラミングによってウィジットを作ったり組んだりしないといけなかったため多くのコードを書く必要がありました。今度からはXMLを使ってUIを宣言でき、コードはより可読性と保守性が良くなり、開発も速くできます。サンプルのメールアプリも新しい宣言型UIを使ったものにアップデートされています。
* リソースのバンドル(ClientBundle):GWTはv1.4からImageBundlesを使えるようになり、画像の分割を自動的にできるようになっていました。ClientBundleはこれを一般化したもので、テキストファイルやCSSやXMLなどのリソースをひとつのダウンロードにまとめてくれます。これによってネットワークの交信は少なくなり、アプリケーション、特にモバイルアプリケーションでのレイテンシを減らすことにもなります。
* GWTのテストでHtmlUnitを使う:GWT 2.0ではテストを実行するのにもはやSWTや古いモジラコード(Linux用)を必要としなくなりました。ビルトインブラウザとして100%JavaのHtmlUnitを使うようになったのです。これによりLinuxにもMacにもWindowsにも単一のGWTディストリビューションだけ用意すればよくなり、また開発モードのGWTテストデバッグも100%Javaのデバッガを使えるようになりました。
最近になってGWTのトランクに移されたUiBinderはXMLマークアップからウィジットおよびDOM構造を生成するもので、UIを作るのにより簡易な宣言的方法を提供する。
簡単なウィジットベースUI<!-- HelloWidgetWorld.ui.xml --> <ui:UiBinder xmlns:ui='urn:ui:com.google.gwt.uibinder' xmlns:g='urn:import:com.google.gwt.user.client.ui'> <g:HTMLPanel> Hello, <g:ListBox ui:field='listBox'/>. </g:HTMLPanel> </ui:UiBinder> public class HelloWidgetWorld extends Composite { interface MyUiBinder extends UiBinder<Widget, HelloWidgetWorld> {} private static MyUiBinder uiBinder = GWT.create(MyUiBinder.class); @UiField ListBox listBox; public HelloWidgetWorld(String... names) { // sets listBox initWidget(uiBinder.createAndBindUi(this)); for (String name : names) { listBox.addItem(name); } } } // Use: HelloWidgetWorld helloWorld = new HelloWidgetWorld("able", "baker", "charlie");
以前のGWTアプリケーションを新しいバージョンで使えるようにするにはそれほど大きな手間はかからないようだ。
影響のある変更
* GWTのテストインフラに引数を渡す方法が改善されました。一貫性のある構文により"runstyle"を選ばず、ユーザー定義もをGWTへの変更なしで使えます。このことは一般的な実行設定には影響をあたえませんが、あまり一般的でないものはアップデートが必要になります。たとえば、'-selenium FF3'という引数は'-runStyle selenium:F3'と変更になりました。
Google Web Toolkitについての詳しい情報はInfoQでご覧いただきたい。