RedMonk こと Michael Cote 氏は,Miguel de Icaza 氏の Monospace でのキーノートの 音声記録 を公開している。Miguel はそこで Mono の歴史と将来計画,Silverlight についての講演と Linux アプライアンス構築のデモを行った。
Mono チームのモットーは “許可を求めるな,許しを請え” だ。そうやって彼らは “Mono の世界で多くのことを行ってきた”。Miguel は Silverlight が Adobe の後を追うべきだと考えていて,そのために Moonlight を他のプラットフォームに移植するかも知れない,とほのめかしている。
Moonlight は Silverlight の Linux での実装です。今のところは。…私たちが協力することで,Microsoft は Silverlight に光明(light)を見出すことができるようになる,と私は考えています。彼らが Adobe Flex の行ってきたことを目指して進むべきだと思っているからです。競い合うことによって,彼らをそちらに向けていくつもりです。
次に Miguel は iPhone 用の Mono である MonoTouch について説明した。Android 用 の Mono も開発する予定だ。同じ方面ではブラジルの開発者が,中断された XNA プロジェクトである Mono XNA と,Silverlight 向け XNA ゲーム製作のためのプロジェクトである Sliverlight XNA を組み合わせて,MonoTouch/iPhone 用のゲーム開発フレームワーク XNA Touch を製作している。
MonoDevelop のライセンスは GPL から LGPL に変更された。これは “MonoDevelop 向けの商用プラグイン開発が可能” になったことを意味する。
オープンソース化された ASP.NET MVC に関しては,1行のコードも書かなくても “私たちの ASP 実装上で動作” する,と Miguel は言う。彼はまた Microsoft オープンソースプロジェクトやAJAX ライブラリ,DLR がなかったならば,“これらがなければ Mono は数年は遅れていただろう”,ECMA 仕様がなければ “Mono は存在し得なかっただろう”,とも言っている。
Miguel が友人と Mono を立ち上げた頃についても話はおよんでいる。.NET が Windows にもたらした生産性を Linux でも可能にしたかった彼らは,6ヶ月もあれば完了できそうな簡単なプロジェクトを立ち上げた。しかし JIT コンパイラは完成したものの,ステージ1の完了には2年半を費やすことになった。彼はさらに MonoDevelop をどのように収束させたかについても説明した。MonoDevelop は当初はエディタにする予定だったが,最終的には IDE になった。Monoは “大げさになりすぎたために” 380MB ものフレームワークになったが,基本的なコンパイラとガベージコレクタだけが望みなら 2MB まで縮小できるだろう。当初 Miguel は .NET フレームワークのよさを理解し,彼が考える最高のオペレーティングシステムである Linx 上でそれを利用できるようにしたいと願っていた。しかし彼はその取り組みが,わずか 35 人の Novell のスタッフと 30 ないし 70 人の外部協力者とで行うには大きすぎるものだと考えている。
今後の開発として Miguel は,来年の予定の話をした。
Mono 3.0 では C# 5.0 に対応します (これはジョークのようだ)。それはつまり C# 4.0 と,彼らがまだ持っていない embeddable C#,そして私たちが部分的に実装を済ませているコア .NET 4.0 API のことです。現時点では WPF に関しての計画はありません。ですから WPF,WWF のことは忘れてください。WCF については限定的なサポートになるでしょう。それ以外については,おそらく .NET にあるものはすべて用意できると思います。できの悪い API は使用しないでおいてください。そうすれば大丈夫です。
Miguel は Silverlight の将来が WPF よりも明るいと信じている。Mac,Linux,Windows で動作する,というのがその理由だ。加えて Silverlight が WPF より習得しやすい,とも考えている。彼はブラウザ上での Sliverlight の動作がサンドボックス内に限られていることを,望ましいこととは思ってはいない。Sliverlight はブラウザ外でのエクスペリエンスにおいても OS 機能のサブセットのみ使用可能なサンドボックス内での動作に限定されているが,Moonlight ではすべての .NET 4 API を使用可能にすることでこの制限をバイパスする予定だ。
Mono チームには “時間とリソースの余裕” がないため,当面 WPF に関わる予定はない。解決策は Silverlight を .NET 4 API で使用する,という方法だ。
Miguel は Linux アプライアンス構築のデモも行った。これについては InfoQ が “VisualStudio による Linux アプライアンス作成” でトピックとして取り上げている。