PDC 2009においてMicrosoftはSilverlight 4開発者ベータ版が利用できるようになったことをアナウンスした。Silverlight 3のリリースから数ヶ月しかたっていない。Silverlight 4には60以上のコントロールセット、1つのコードでデスクトップとSilverlightサンドボックス両方で使えるようにする機能、MEFサポート、完全な画面デザイナ、インテリセンスの完全なサポート、オーディオ・ビデオの改善、パフォーマンス改善といった数多くの新機能が含まれる。
Silverlight 4は多くの新機能を備えている。
- 画面コンテンツに非依存の仮想プリントビューと同様のハードコピーレポートやドキュメントを可能にする統合的な印刷サポート。
- カスタマイズとスタイリングが可能な60以上のコントロール。新しいコントロールにはハイパーリンクや画像の表示、編集機能をもったRichTextBox、複雑なフィールド検証のためのMasked TextBoxがあります。また、DataGridがカラムのソート、リサイズ機能や行のコピー、ペースト機能を持つように拡張されています。
- WCF RIAサービスにエンタープライズ用途のネットワーキングやデータアクセスが導入されました。これらはトランザクション、データページング、WCF、HTTP拡張を含むN層アプリケーションの構築に利用できます。
- 双方向テキスト、右から左への言語のサポート、アラビア語、ヘブライ語、タイ語といった複雑な文字のサポートによるローカライズの拡張。
- .NET共通言語ランタイム(CLR)が同一のコンパイル済みコードをデスクトップとSilverlightの両方で実行できるようになりました。
- データのグルーピング、編集、バインディング時の文字列フォーマットによるデータバインディングの柔軟性と生産性の向上。
- 大規模コンポジットアプリケーションの構築をサポートするManaged Extensibility Framework。
- Visual Studio 2010によるSilverlightのサポート。完全な画面デザイナ、ドラッグ&ドロップデータバインディング、自動バインドコントロール、データソース選択、Expression Blendスタイリングリソースとの統合、完全なインテリセンスなどがあります。
開発者ツールはこのように拡張された。
- コントロールとレイアウト作成のための完全な画面デザイナ。
- リッチなプロパティグリッドや新しいバリューエディタ。
- データバインディングのドラッグ&ドロップサポートやListBox、DataGridのようなデータバウンドコントロールの自動生成。また、新しいデータソースウィンドウやピッカー。
- Expression Blendで構築されたデザイナリソースをベースにした、魅力的なアプリケーションを作るための簡単なスタイルやリソースの選択。
- Silverlightアプリケーションのためのビルトインプロジェクトサポート。
- XAML、C#、VBのための完全なインテリセンスを備えたエディタ。
真にリッチなアプリケーションを構築するための新機能はかなりたくさんある。
- アニメーション効果によってアプリケーションのユーザビリティを向上させる流動的インターフェースの拡張。
- 例えばチャットやカスタマサービスアプリケーションでビデオやオーディオの共有を可能にするでウェブカムやマイクロフォン。
- サーバとの相互作用なしに、オーディオとビデオをRAWビデオとしてローカルで記録する機能。例えばビデオ会議のような広範囲のエンドユーザの交流やコミュニケーションシナリオを可能にします。
- コピー&ペーストやドラッグ&ドロップのような、アプリケーションにデータを持ってくる機能。
- 巨大なリストがマウスホイールを使って楽にスクロール可能にする機能。
- 右クリックによるコンテキストメニューのような、新機能による伝統的なデスクトップ操作モデルのサポート。
- Google Chromeブラウザのサポート。
- パフォーマンスの最適化。Silverlight 4アプリケーションは同等のSilverlight 3アプリケーションに比べてより早く起動し、200%早く動きます。
- 巨大なデータセットや高速なアニメーションをサポートするためのハードウェアアクセラレーションを含む、Deep Zoomの拡張。
- さまざまなジェスチャやタッチ操作を可能にするマルチタッチのサポート。
- 既存のWindows Media Serverストリーミングインフラとシームレスに相互作用するマルチキャストネットワーキング。低コストで企業ミーティングやトレーニングなどのストリーミングブロードキャストイベントを可能にします。
- PlayReadyによるSilverlight DRMを使ったH.264メディアのコンテンツ保護。
- オーディオ/ビデオストリームのための出力保護。コンテンツの所有者や配布者に対して、保護されたコンテンツがセキュアビデオ通信を通して閲覧だけされることを保証します。
初期リリースのSilverlight 4は開発者のみを対象にしたもので、エンドユーザ向けの実行環境は使えない。Silverlight 4にはVisual Studio 2010が必要である。基本的なツールやドキュメントは
Silverlight 4 Beta Tools for Visual Studio 2010 –開発者向け実行環境、Visual Studioプロジェクトのサポート、Silverlight 4 SDKを含みます。
Silverlight Toolkit –オープンソースライセンスでソースコードが公開されているさまざまなコントロールを含みます。
Silverlight 4ベータのオフライン用CHMヘルプドキュメント
ビデオとサンプルコード –ビデオによる機能説明。ソースコードにはC#とVB.NETが含まれます。
PDC2009ではFishBowlというFacebookクライアントアプリケーションがデモされた。これは実際には、カスタマイズ可能なリッチインターフェースを通してFacebookアカウントに接続し、情報をやりとりすることができるアウトオブブラウザSilverlightアプリケーションだ。FishBowlのソースコードはCodePlexで公開されている。