Windows Management Framework の一部分である Windows Remote Management は,WindowsXP 以降の動作するコンピュータを対象とする標準的リモート管理機能を提供するものだ。WinRM の名称でも知られるこの機能のベースには,いくつかの重要な標準技術がある。
最初にあげられるのは WS-Manegement プロトコル だ。これは AMD,Dell,Intel,Microsoft,Sun Microsystems など 13企業の協力によって開発され,Distributed Management Task Force(DMTF) の後援でリリースされた仕様であり,SOAP に加えて Web サービスプロトコルである WS-Transfer と WS-Enumeration をベースとしている。
次に重要なコンポーネントは,かの有名な Windows Management Instrumentation (WMI) だ。WMI はWindows2000 で標準だったが,Windows95 までさかのぼってサポートしている。WinRM が本質的に WMI のラッパであることから,WinRM を理解するためにも WMI を学ぶことは重要である。
開発者の関心が WS-Management SOAP インターフェースにあったとしても,システム管理者にとってはコマンドラインツールの方がずっと役に立つものだろう。選択肢のひとつは旧式の Windows Remote Shell で,これを使ってリモートマシンにコマンドを1対1で送信することができる。だがそれよりずっと面白いのは PowerShell 2.0 だ。PowerShell は Microsoft のサーバ製品すべてに対して強力なコマンドラインツールを提供するもので, Microsoft がサーバマーケットで Linux に挑戦するための戦略計画の一部となっている。
Windows Remote Management 2.0 と PowerShell 2.0 はともに Windows Management Framework としてリリースされる。Windows Management Framework にはこの3つのコンポーネントの他に BITS 4.0 が含まれている。
Microsoft の Background Intelligent Transfer Service (BITS) はもともと 2001年の Windows XP に入っていたものだが,それ以来 Windows Automatic Update から RSS Bandit,EVE Online,Google Gears といった最新ソフトウェアまでにおいて,まさにそのコアとしての役割をはたしてきた。BITS 4.0 は,大規模なファイルをコンピュータ間で非同期転送するために,スタンドアロンの HTTP/HTTPS ファイルサーバとしての機能を提供するものだ。