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Node.js - Google V8 ベースの Javascript 用イベント駆動 I/O

原文(投稿日:2009/11/24)へのリンク

Node.js はスタンドアロンの Javascript プログラム上でイベント駆動 I/O を実現するものだ。EventMachine や Python の Twisted,Grand Central Dispatch の Dispatch Sources + queue などのシステムにあるイベント駆動 I/O が,Node.js によって Javascript でも使用可能になる。

このプレゼンテーションでは,Node.js の背景にある設計上のアイデアと実装を議論する (PDF ファイルへのリンク)。基本的に Node.js では,次のようなコードを記述できる (被リンク側の場合)。

http.createServer( function (req,res) {
   res.sendHeader(200, {"Content-Type": "text/plain"});
   res.sendBody("Hello\r\n");
   res.sendBody("World\r\n");
   res.finish(); 
 }).listen(8000);

ここでは createServer をコールして,ポート 8000 を listen するようにシステムをセットアップしている。接続要求が到着すると,パラメータとして渡した匿名関数が起動される。手作業でスレッドを起こしたり,接続要求をディスパッチしたりする必要はなく,Node.js がすべてを処理してくれる。
これは一例であって,その他数多くの I/O処理がコールバックとイベントによって読取,書込ともに処理できる。標準入力からの非ブロック読込も可能だ。

Node.js の API では,全体を通じてイベントの概念を採用している。すべてのシステムの全種類のイベントに対して,単に addListener を使用するだけでリスナを登録することができる。例えば次のようなコードで,グローバルな process オブジェクトから OS シグナルを listen することができる (プレゼンテーション側)。

 

process.addListener("SIGINT",
   function () {
     puts("good bye");
     process.exit(0)
   }
);

その他ライブラリには Promise オブジェクトを返すものもある。Promise オブジェクトは "success","error","cancel" というイベントのいずれかを発行する。次の例は Node.js API のドキュメントから引用したものだ。

var posix = require("posix"),
    sys = require("sys");  
   
var promise = posix.unlink("/tmp/hello");
promise.addCallback(function () {  
    sys.puts("successfully deleted /tmp/hello");  
});

promise.addCallback コールは,その Promise オブジェクトが "success" イベントを発行したときにコールされるようにリスナを登録する。上記の例では,API コールが成功終了したときにイベントが発行される。同じようなことは Promise オブジェクトの wait あるいは timeout コールでも実現できる。これらは無期限あるいはタイムアウトが発生するまで,呼び出し側の実行をブロックする処理である。
Node.js はこの Promise の概念を使って,実際に JavaScript コードをブロックすることなくブロックコールを実行可能にする。これらのコールがバックグラウンドスレッドで実行され,完了後に Promise がイベントを発行する仕組みだ。

Node.js は設計目標を達するために Google V8 を使用し,いくつかのライブラリをバンドルする。

  • libev - イベントループを実装し,下位層に使用するテクノロジ (selectepoll など) を抽象化する。
  • libeio - スレッドプールを使用して,バックグラウンドでブロックコールを実行する。非ブロック型 DNS レゾリューションの実装である udns ライブラリも使用される (オペレーティングシステムの DNS レゾリューションが,ブロック型システムコールのみの場合があるため)。
  • http-parser などプロトコル実装。

Node.js を使ったライブラリ が多数開発されている。すでにデータベースのバインド,BERT-RPC などのプロトコル実装などがある。

さらに HTML5 Web Worker API のサポート が検討されている。Web Worker を用いれば,JavaScript からタスクを実行する新たな Worker が起動可能になる。共有メモリスレッドとは違って,Web Worker は他の (あるいは生成した側の) メモリ空間を参照しない。コミュニケーションがメッセージパッシングによってのみ行われるなど,いくぶん Erlang のプロセスに似たところもある。

Node.js は Javascript ファイルを実行するプログラムと,Javascript を簡単にテスト実行できるシェル(REPL)を添付して配布されている。

さらに詳しい情報については, Simon Willson 氏が Node.js をカバーした記事 を書いている。この記事には Node.js ライブラリの使用例もいくつか提供されている。Redis (オンメモリデータベースシステム) へのアクセスや Web アプリケーション構築などがある。

Node.js によって Javascript は,GUIスクリプティング言語以上のものとして使用できるようになる。ただし Javascript から引き継いだ問題がひとつある。標準 Javascript ライブラリの欠如だ。Node.js にはライブラリが添付されているし,前述したサードパーティ製ライブラリも役に立つものだが,それでも Java や Ruby の標準ライブラリに見られるような機能には程遠い。Javascript がクライアントアプリケーションの記述言語として一般化してきているので,今後もっと汎用的でブラウザベースでないライブラリの登場を期待できるだろう。

Node.js を使ってみたいと思っただろうか? あなたなら何に使うだろう?

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