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かんばんで「プル」を制止してもかまわない

原文(投稿日:2010/01/12)へのリンク

かんばんでは、「プル」の心理学に非常に重点が置かれている。リーンの考え方に賛同するほとんどの人は、従来のプッシュ方式とは対照的に、パフォーマンスや生産性の面で優位とされているプル方式を好む。とはいえ、プルを制止したくなるような状況もあるのではないだろうか。

Nicole Kohari氏は、以前から、多くの作業が組織の階層を通じて押し出されており、これが、多くの仕掛品およびリードタイムの原因となる点について述べている。また同氏は、パフォーマンスの向上を前提に、プルベースの方式では、最終的に年間でおよそ22日の作業日数の削減が可能であることが統計により明らかになった点について触れており、その主なルールの1つを、次のように強調している。

プル方式のポイントは、価値の流れの前工程から必要に応じて引き取り、仕掛品を制限するためにかんばんボードを使用する点です。

この調査結果では、プルベースの方式を使用するチームは、プッシュベースの方式で作業するチームよりもモチベーションが高いことも示唆している。

一方、プルを制するために慎重を期したほうがよい状況もある。 Michael Dubakov氏は、「作業中」の列にフリースロットはないが、時間があるという理由で、開発者が新規の小さなタスクを開始したがる場合のシナリオについて言及している。

「フリースロットがないのはわかっているが、メンバーはみな既にアイテムに取り掛かっており、自分が手伝う必要はないのだから、この小さな新規のユーザーストーリーに着手したい。」あなたは次のように考えるかもしれない。「まあ実際、順調なペースで進んでいることだし、この小さなストーリーであれば、そんなに時間はかからないはずだ。」そして、次のように答える。「OK、ジョン、そのストーリーに取りかかってくれ。今すぐ、これが制限を超えるような問題になるとは思えないしね。」

Michael氏は、次のように述べている。「テスターが、新しいストーリーにバグをいくつか発見し、これらのバグを修正する開発者がいないことに気付くまで、すべてのことが誠意と善意を持って機能している可能性はある。これにより、プロセス全体のペースが減速する。それは、この問題を修正するために誰かを割り当てる必要があり、移行が必要となる可能性があることを示しているからだ。」そこで、Michael氏は、「さらに何かをするという罠に陥るのではなく、常にWIP(仕掛)のルールに従うよう慎重を期したほうがよい」と提案している。

私だって、「いや、もう帰って、何か新しい技術について興味のあるものでも読んだほうがいい。今は、新しいストーリーに着手できないんだ。テスターが、実行中のストーリーにバグを見つけたら、そのバグを早急に修正する必要があるからね。だから、空きの開発者が必要なんだ」などと言うことが、初めのうちは非常に困難であることは承知しています。

Michael氏は、「このルールは、より優れた生産性やより多くの開発者など、背後に確固たる理由がある場合にのみ、手を加えることができる」としている。

Michael氏へのコメントで、pawelbrodzinski氏は、「チームとして、彼らが制限を超えることに問題はなく、それを行うのはチームの自由である。そして、これまでに一度だけ、制限を超えたことがある」と示唆している。同様に、Jim Benson氏は、「この方式には多少のゆとりが必要である。 このリーンの基本的な原理は、まだ、かんばんには取り込まれていない」と述べている。

このようなゆとりがない場合、WIPは常に最大限の状態です。これは、チームが100%の能力で稼働しており、変更に対応できないことを意味しています。

このように、ゆとりを持つか、または、チームに追加の作業を許可するかは、一部のチームには効果のある適切な選択肢のように見えるかもしれない。しかし、Michael氏は、「開発者またはテスターが何もしない状況を受け入れるのは困難かもしれないが、プル方式が機能しないような場合を除き、WIPのルールに従うことは不可欠である」と繰り返し述べている。

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