インターネットは、コミュニケーションや意見交換、情報へのアクセス容易化を促進し世界中の人々を一体にするメディアだと考えられてきた。一部の人々は、様々なプラットフォームへのドキュメント移植を困難にするデバイスの急増により、インターネットが当初の目的から逸脱しつつあると考えている。
スプリンターネットという用語は、2008年にTechnology Marketing社の最高経営責任者であるRich Tehrani氏がVoIPに特化した雑誌においておそらく初めて言及した。Tehrani氏は、ソーシャルネットワークの台頭により、インターネットには長年に渡り確立してきたビジネスを急激に変化させる力があると述べた。
Forrester Research社のシニア・バイス・プレジデントであるJosh Bernoff氏はスプリンターネットの理念を再度取り上げ、今日の企業やマーケターにとって、毎日のように新しく登場するあらゆる種類のデバイス上で動作するポータブル・コンテンツを作成することはますます難しくなっていると以下に述べている。
ウェブ(およびウェブ・マーケティング)の全体の枠組みは、全てのものが互換性のある形式になっているという考え方を土台にしています。あらゆるブラウザやコンピュータ、そして接続など、ほぼ同じものを思い浮かべるでしょう。
ですが今やiPhoneやAndroid、Kindle、Tablet、そしてテレビのウェブ接続などが存在し、そういった考え方は真実とはなりません。特にフラッシュが含まれていたりマウスをベースとしたナビゲーションが想定されていたりする場合、そのサイトはこういったデバイス上ではおそらく適切に動作しないでしょう。iPhone上で動くアプリケーションはAndroid上では動作しません。FiOS TV用のウィジェットは、それ以外のところでは動作しません。
Bernoff氏はまた、多くのコンテンツがパスワードで保護されており、これは情報共有というビジョンから逸脱するものであるとも述べている。
一方ウェブ上では、面白いものがますますログインやパスワードにより隠されるようになっています。 Facebookを例にとりましょう。Facebookのアプリケーションはそれ以外のところで動作しないだけではなく、Googleもその大半を認識することができません。またNews Corp.やNew York Timesは、より多くのコンテンツをログインが必要なものとすることについて検討しています。
Bernoff氏は、標準規格というものは役に立たないだろうと考えている。
標準規格が標準的なエクスペリエンスを作り出すことはできません。Webエクスペリエンスはデバイスによって大きく変わろうとしています。これは、そういったエクスペリエンスに関わりを持つ企業にとって困難な問題となっています。それはマーケターにとっても同じです。
彼の解決方法は、「柔軟性が十分で、そういった異なるフォーマットでの伝達が可能なテクノロジー」だ。「しかしサイト側にとって、これは多大な配慮を要します。別のデバイス向けにコンテンツを再フォーマットする方法についての判断は、マシンによって答えを出せるようなものではありません。」
Daniel Millbank氏が以下に述べているように、インターネット全体としては分裂しつつあるということは全くなく、どちらかといえば使用されているアプリケーションがそうである、とBernoff氏に対し論じる人々もいる。
投稿内容およびいくつかの返答を読みましたが、筆者がコンテンツやアプリケーション、あるいはそういったものを伝える今日の伝達手段、つまりウェブについて切り離そうと試みているようには思えません。私は混乱しているのでしょうか。私はこの投稿を正しく理解していますか?私は、「スプリンターネット」の観念はiPhoneやBlackberry、iPod、そして先頃のiPadなどといったウェブ対応デバイスのアプリケーションに適用され、コンテンツのベアラで、かつコンテンツ表示に際してはブラウザに依存しているウェブサイトに適用されるものではないと思っていました。インターネットを利用するウェブ対応デバイスで今日マーケットにおいて成功しているものは、ウェブ標準規格に準拠したブラウザを実行するであろうということは、少なくとも私にとっては明らかです。
繰り返しますが、ここの違いを強調しておくことは重要だと思います。ブラウザはアプリケーションであり、ウェブサイトを解釈するものです。ブラウザがウェブ標準規格に準拠しており、ウェブサイトがウェブ標準規格に従って構築されたものであれば、いかなるデバイス上(iPhone、PC、Blackberry、iPadなど)でも問題なく表示されます。しかし、アプリケーション、この場合はブラウザですが、これをあるプラットフォームから取り出し別のプラットフォームへ移動させることは、複数のプラットフォームに対応するJavaを使用しているのでなければ不可能です。コンテンツ自体はどこにあっても機能します…それがXMLについて肝心な部分なのではなかったですか?
Astek Consulting社の最高業務執行責任者であるKatie Hawkey氏は、フォーマットが問題なのではなく、むしろコンテンツが問題であると主張している。
レイアウトの観点からウェブ上の情報について考えるのをやめ、コンテンツという面から注視しなければいけません。上のほうで「デバイスは慎重に選んでください-あるものに対する投資を、簡単に他のものに移すことはできないのです」とおっしゃっていますよね。この発言により、あなたがウェブ上のコンテンツをダイレクトメールで発送する必要がある印刷物のようなものとして捉えていることがわかります。「レイアウトは慎重に選んでください-いったんハガキとして印刷されると、パンフレットのフォーマットへの変更は簡単ではありませんよ。」
でもこれは印刷物ではなく、ウェブコンテンツなのです。ウェブコンテンツの配信というものを、もっとラジオ番組の電波のように考えるべきです。カー・ラジオであれ、トランジスタ・ラジオであれ、ホーム・ステレオであれ、どんなラジオでもあなたがKaiと話しているのを聴くことができます。それぞれで音質が少し違ってくるでしょうって?そうでしょうね。この話を聞いてもやっぱりラジオに向かって喚くかって?もちろん。なぜかって?なぜなら本当に問題となるなのはコンテンツなのであって、配信手段ではないのです。
読者はどうお考えだろうか。インターネットは当初のビジョンから外れつつあるのだろうか。現在のディベロッパは情報へのアクセスを促進しようとしているのだろうか、それとも困難なものにしようとしているのだろうか?