Debianプロジェクトは、ユニバーサルオペレーティングシステムの新しい安定版、Debian 6.0(コードネーム "Squeeze")を年内にリリースする予定だ。Debianインストーラチームは最近、その一部となるインストーラの最初のアルファ版をリリースした。
この新しいDebianインストーラ(d-iとして知られている)には、新しい機能がいくつかある。Debianをデプロイしているシステム管理者なら、まだd-iが安定していなくとも、新しいリリースが何をもたらしてくれるのか関心があるだろう。
Debian 6.0/Squeezeリリースではext4ファイルシステムがサポートされ、RAID、LVM、cryptoの設定がもっと簡単になっている。Grub2がx86アーキテクチャにおけるデフォルトのブートローダになり、ソフトウェアRAID、GPT、LVM、ext4ファイルシステムもサポートされる。
Squeezeで最も注意しておくべき変更のひとつは、APTがrecommends
セクションにあるパッケージをデフォルトでインストールするようになったことだ。Debianパッケージのdepends
セクションにあるパッケージは絶対的な依存関係があることを示しており、recommends
セクションにあるパッケージは依存関係は強いが、絶対的ではないことを示している。Debianポリシーマニュアルに書かれているように、「"Recommendsフィールドには、特別な場合でないかぎり、一緒に使用されるパッケージが書かれている」。
もしディスクスペースに問題があり、recommends
セクションにある追加パッケージがないといくつかの機能が利用できないことを理解しているのであれば、あなたはインストーラのこの新しい挙動を無効にしても構わない。無効にするためには、ブートプロンプトからpreseedを使うか、/etc/apt/apt.conf.d/*
に以下のように手動で設定すればよい。
APT::Install-Recommends false;
ちょっと待って、preseedとな何だろう? preseedはd-iのインストール処理を自動化するための方法だ。これを使えば、インストール処理中に質問にひとつひとつ答える必要はなくなる。その代わりに、d-iに適切な設定ファイルを与えればよいのだ。構成管理のためにPuppetと組み合わせることで、Debianのデプロイメント処理をスケールして、大規模なインストールを管理するのに使われることが多い。
MarvellのKirkwoodプラットフォームのサポートも追加されたため、QNAPやMarvell SheevaPlugのデバイスでもDebianがそのまま動くようになった。またarmelアーキテクチャではIntel Storage System SS4000-Eもサポートされる。
localechooserも改善された。ユーザはインストール時に言語、場所(国)、ロケールを個別に選べるようになり、構成は最大限柔軟になった。また、d-iのエキスパートモードではタイムゾーンをUTCに設定できるようになった。
システム管理者にはそれほど関係はないかもしれないが、GTK+ライブラリのDirectFBバックエンドに問題があって、まだグラフィカルインストーラはうまく動作していない。Debian開発者たちはX11の置き換え作業中であり、Squeezeに向けたd-iの安定版では、アクセシビリティサポートを含むグラフィカルインストーラがまた戻ってくるだろう。
d-iは現在の安定版であるDebian 5.0(コードネーム "Lenny")もサポートしている。つまり、2つの異なるリリースをひとつのインストーラでサポートできるようになったということだ。もしLinuxカーネルバージョン2.6.32を使ってd-iの現在のテスト版を試しているのであれば、Debianインストーラチームにバグ報告をする前に、Errataページを必ずチェックしておこう。