OASIS SOA-EERP技術委員会は3つの仕様のドラフトについて60日間の公開レビューを宣言した。
- SOA-EERP Business Quality of Service 1.0版.
- SOA-EERP Business Service Level Agreement 1.0版
- SOA-EERP Business Rating of Service 1.0版
OASIS SOA-EERP白書である「End-to-End Resource Planning (EERP)モデルとユースケース」において定義されている通り、この一連の仕様は以下のものに適用される。
ビジネスの結果を改善するための新しい方法における、サービスの発見、組み立て、シミュレーション、最適化テクニック。ソフトウェア企業がSOAをeビジネスのデプロイに適用させるようになるにしたがい、自己最適化システムはより実現可能に、そして使いやすいものになりました。サービスのビジネス的特性をモデリングすることは、それらのサービスを利用するプロセスが持つビジネス的価値を見積もる上での前提条件です。最後に、ビジネスサービスに関する合意を形成することは、長期的に価値が連鎖するような改善において本質的なことです。
SOA-EERP技術委員会の全般的な展望は、サービスの「交換制度」を作り出し、サービスの消費者がそこで自分の要求を満たす最適なサービスセットを得られるようにするというものだ。この交換に参加する多くのサービスプロバイダは類似のサービスを提供するだろうが、サービスのビジネス品質(bQoS)やレーティングはそれぞれ異なる。レーティングはサードパーティのレーティング組織のようなレーティングプロバイダに参加することで提供され、数字か分類記述で公表される。最終的にEERPのポータルがサービスからのリクエストを受けて、bQoSとレーティング検索を実行し、最適なソリューションを算出し、各サービスの要求元に結果を返す。
XML語彙に関する一連の仕様は現在レビュー対象となっているものの一部である。これが取り組んでいるのは、まず、サービスとそのプロバイダの信頼性に関連するアサーションもしくは問い合わせができるようにサービスのビジネス的特性をモデリングした情報を交換することであり、そして、ビジネスサービスに関する合意を形成することである。追加仕様は他の分野にも適用され得る。例えば、bQoSが適用されるものには、エネルギー、売買される商品、医療や運送のようなサービスその他の特性の定義もある。取引やビジネスパートナの評判(レーティング)は多くのコンテキストにおいて有益なのだ。
bQoS仕様はXMLスキーマとして定義されるXMLの語彙であり、それによってあるサービスにおいて選択されたビジネスの特性が定義される。bQoSの主要な構成要素は以下の通り。
- サービスの価格ないしコスト
- サービスを実行する際のパフォーマンス、スループット、レイテンシー
- サービスの品質 など
ビジネスレーティング仕様はXMLスキーマとして定義されるXMLの語彙であり、それによってサービスプロバイダのビジネス的信憑性("credibility")、信頼性("reliability")、評判が定義される。ビジネスレーティングの主な構成要素は以下の通り。
- サードパーティーによるサービスレーティングのリスト 各レーティングは、与えられたビジネスサービスのレーティングを表す数値レーティングか分類記述のどちらかの集計を含んでいる。
- サービスプロバイダが所有または所持している信用証明書 このような証明書はサービスを管理する組織によって発行されるものであり、ライセンス、許可書、認定書、連携、加盟といったものを含み得る。
ビジネスSLA仕様はXMLスキーマとして定義されるXMLの語彙であり、それによってサービス要求元とサービス提供者間の合意が定義される。ビジネスSLAはサービス利用者と提供者の間の正式な契約であり、定義された水準での量的なbQoSを保証するものだ。ビジネスSLAの主な構成要素は以下の通り。
- サービスのSLAに含まれるパーティ
- QoSメトリクスを算出するためにモニタされるサービスのパラメタ
- サービスが持つSLAの義務
- サービスがもつSLAの期間
この一連のOASIS仕様はサービスのビジネス的価値を形式化する上での重要なステップを意味しており、SOA実装によるビジネスへの影響度をより適切に評価するのに利用され得るのだ。