最初は SOA の死亡宣告 だった。そして今, jBPM の創業者 Tom Baeyens 氏が新たな 死亡告知 をする - 今度は,スタンドアロンのビジネスプロセスマネジメントシステム(Bisuness Process Management System/BPMS) だ。Baeyens 氏によると,スタンドアロンの BPMS には2つの大きな問題がある。
- セットアップコストが高いこと。ソフトウェアの導入と実行,すべてのユーザに技術を理解させるまでのコストが対象である。
- BPM システムを外部に適合させるためのコストが高いこと。Web サービスだけでなく,他のアプリケーションと通信する個別のアダプタも大きな障壁となる。
このようにコストの高い BPMS の採用を正当化するためには,複雑で大量のビジネスプロセスをその対象とする必要がある。ビジネスプロセスはいつも単純であるとは限らない。企業が BPM において成熟する必要があるためだ。結果的に BPMS の採用は,BPM 実施の入り口を非常に高価なものにしている。
この問題に対する Baeyens 氏のソリューションは,広範に使用可能なビジネスプロセスのプラットフォームの提供である。そのアプローチのひとつの例が jBPM だ。
jBPM は当初,開発者を対象としていました。私たちは BPM とワークフロー機能を開発者の手に託しました。これらの機能を開発者の世界で提供したのです。
jBPM はアプリケーションを組み込んだビジネスプロセスの構築にも,本格的な機能を備えた BPMS への拡張にも利用可能なフレームワークである。
jBPM は BPM 導入のしきい値を低くして,BPM 活用の新しい世界を開きます。導入が容易になることで,小規模なプロセスにおいても BPM システム利用を始める価値があるようになります... jBPM はオープンソースとして提供され,アプリケーションの組み込みが可能です。jBPM によって私たちは,BPM のスケール可能な範囲が,これまで他の BPM 製品で個々に行ってきた適用範囲よりもはるかに広い,ということを証明したのです。
BPMS をアプリケーション実装の基盤に使用する別の例として,Baeyens 氏はエンタープライズコンテント管理 (Enterprise Content Management/ECM) システムを紹介している。
ECM システムは,組込 BPM が成果を得るために必要な投資を低減する,すばらしい環境です。ある月例ミーティングを想像してみてください。そのミーティングの議事録にはレビューが必要である,としましょう。しかも議事録の公開は,主要な出席者が同意した場合にのみ必要なのです。このような会議のために BPM を導入するでしょうか? 私はそうは思いません。しかし,もし ECM システムにそのような機能があるなら,労力に見合う成果はすぐに得られます。ここでもまた,従来の範囲を越えたスケールにまで BPM を展開すること,これが私たちの戦略なのです。
BPM 導入の敷居を低くする必要がある,という点では,Baeyens 氏の意見に反論の余地はないだろう。jBPM が優れたフレームワークであることも事実だ。本当の問題は,BPM は開発者のためのツールなのか,という点にある。BPM を高レベルの開発言語として使用可能な状況は確かに存在する。しかしながら BPM が,特に SOA と併用された場合に持つ本当の強さは,アプリケーション間の境界を打ち壊して企業全体に及ぶビジネスプロセスを実現する,その能力にある。この点において,真の BPMS は単なる作業のための環境ではない。ビジネスのモデリングやシミュレーション,BAM(Business Activity Monitoring) サポートを提供するときにこそ,それは本当の輝きを持ち始めるのだ。