RubyConf Chinaは毎年開催されるRuby プログラミング言語に関するカンファレンスである。第2回 RubyConf China は中国・上海で、6月26日に開催された。Ruby の創始者である "Matz" 氏がキーノートを発表した後は、現在のRubyに関する様々なトピックスの講演が行われた。ほとんどのスピーカはアジアから来た人たちであった。
Matz氏がRubyConf Chinaを訪れるのは2回目である。彼はRubyコミュニティに関して話をした。Matz氏は Rubyの素晴らしいコミュニティがあって非常に幸運だったと語った。"良い" コミュニティの定義とは、以下のようなものである。
def nice #良いコミュニティとは
brave && #勇敢で、かつ
passionate && #情熱的で、かつ
honest && #率直で、かつ
respective #個々に独立している
end
またMatz氏はいろいろな方法でRubyコミュニティに貢献できる、と言った。バグを修正したり、gemを公開したり Ruby コアのコードベースにコードをコミットしたり、などである。
Ruby 2.0について聞かれた際、 Matz氏は、Ruby 2.0 革命的な アップグレードというよりは、1.9に機能を追加したような形になるだろう、と答えた。 Ruby 2.0 はスケーラビリティにフォーカスしており、チーム、特に巨大なチームで協調して作業しやすいように改善するつもりである。さらに、彼は Rubyのさまざまな実装、JRuby やRubiniusにも言及した。
その後、 Yottaaの Jared Rosoff氏が、どのようにしたらRubyとMongoDBで高度にスケーラブルなシステムを実現できるか、自らの経験を披露した。彼はいろいろなSQLソリューションそれぞれの利点と欠点を示し、なぜMongoDBを選択したか語った。
午後には、WenTien Chang氏 (a.k.a. ihower) が10の有用な技を披露した。"Designing Beautiful Ruby APIs"の講演中、 彼はたくさんの例を示しながどのように美しいAPIを書くか説明した。彼によると、美しいAPIは以下のようにあるべきである。
読みやすい: 簡単に理解できる
効率的: 簡単に記述することができる
柔軟: 簡単に拡張できる
同時に、彼は台湾のRuby コミュニティを紹介し、この4月に開催されたRubyConf 台湾 2010 に言及した
"Ruby、NoSQL、Tokyo Cabinet"のセッションでは、 SNDAの BiaoWei Zhuang氏が自身で開発した、Tokyo CabinetをベースにしたNoSQL データベース、TCDatabase 、およびその ActiveRecord アダプタである tcdb-adapterについて説明した。TCDatabase と tcdb-adapterを利用することにより、 リレーショナルデータベースをNoSQL データベースに簡単(そしてシームレス)に移行することができる。Zhuang氏は デモを実施し、TCDatabaseのロードマップを提供した。TCDatabaseは近い将来にオープンソースにするつもりだそうだ。
他にも以下のような講演があった。
- Richard Huang氏 - HTTP 上のRuby Application
- Quake Wang氏 - Glue 言語としてのRuby
- Andy Hu氏 - 高品質なWebアプリケーションをRailsで構築する
- Shunichi Arai氏 - Rails後の世界のビジネス課題
- Kouichirou Eto氏 - "パターン、Wiki そして XP"の紹介
すべてのスライドとビデオはオフィシャルサイト http://rubyconfchina.orgで直に閲覧可能となる。