Allaireの前チーフアーキテクトであり、最初のWebアプリケーションサーバのひとつ、Cold Fusionを売り込んでいたSimeon Simeonov氏は、VMWareのCTOであるSteve Herrod氏が次のようにコメントしたのを受けて、仮想化の将来に関するエッセイを書いた 。
私たちはSpringをクラウドアプリケーションのための最高の言語にすることに情熱を注いでいます。たとえVMware vSphereベースのクラウドでなくてもです。
Simeon氏は多くの人と同様、次のように語っている。
サーバ仮想化のおかげでクラウドコンピューティングが生まれました。単一の物理サーバ上に複数の論理サーバインスタンスを実行する機能がなければ、私たちが今日知っているクラウドコンピューティングの経済は実現不可能でしょう。
しかし、彼はこう付け加える。
私たちが今日知っているようなサーバ仮想化は [...] クラウドベースのアプリケーションプラットフォームが、現在のサーバやOSにある表記法を参照せずとも、アプリケーションを構築、デプロイできるよう成熟するまでの補助具にすぎません。そうなった時点で、サーバ仮想化の価値は大幅に低下するでしょう。
VMwareのCEOであるPaul Maritz氏は次のように説明する。
インフラストラクチャ層におけるクラウドは新しいハードウェアです。現在、クラウドをスケールする単位は仮想サーバになっています。[...] これはクラウドコンピューティングの次のフェーズでは変化するでしょう。すでにこうした転換の初期サインが見られます。Google App Engineには自動的にスケールする機能が組み込まれています。そして、Herokuはスケーラビリティの単位としてdynoとworkerという表記法を使います。Google App EngineやHerokuで作業している開発者は、サーバについてや、それが仮想的なものか物理的なものかを考える必要はありません。[...] アプリケーションプラットフォーム層におけるクラウドが新しいハードウェアになるでしょう。
Simeon氏はこう主張している。
何よりもまず、サーバ仮想化はオーバーヘッドになります。VMwareのパフォーマンステストによると、そのオーバーヘッドは8%から12%だそうです。しかし、同一サーバ上に複数の仮想マシンが動いて、ハードウェアやネットワークリソースの競合が発生し始めると、そのオーバーヘッドは大幅に大きくなります。
彼はそんなコストを支払う理由はないと説明する。
最近のアプリケーションのほとんどは、[...] ファイルやプロセスのようなローカルリソースとは対照的に、データベースやWebサービスのようなネットワークアクセス可能なリソースに依存しています。スタートアップが、サーバからアプリケーションを解放してカスタムのアプリケーション仮想化層を構築しているのはこのためです。これによりWindowsやフル機能のLinuxを仮想化する必要性をなくしています。[...] マルチテナントの分離はPaaS層で実現されます。仮想マシン層ではありません。
Simeon氏はAmazonのCTOであるWerner Vogels氏との会話の後、こう説明する。
パブリッククラウドにこの種のPaaSサービスを展開する上で最大の障害は信頼です。現時点では、AWSはセキュリティと分離の提供をサーバ仮想化層に任せています。技術的には、PaaS層でやると難しくなるわけではありません。実際のところ簡単になります。危険なAPIを削除するか塞いでしまう必要があるだけです。しかし、大手のパブリッククラウドプロバイダにとって、PaaSの利用ボリュームがサーバ仮想化のオーバーヘッドを取り除くだけの価値をもたらすまでには、まだ少なくとも1年から2年はかかると思います。
彼は次のように予測している。
企業のプライベートクラウドにはしばらくの間、サーバ仮想化が必要です。(しかし、サーバ仮想化と従来のOS)市場はこの3年のうちにピークを迎え、徐々に減少していくでしょう。
彼はこう結ぶ。
VMwareは明らかに将来を見据えており、スタックをPaaSまで上げる準備をしています。[...] まもなく、フォレストガンプの名場面のように、サーバ仮想化の補助具を捨てられるようになるでしょう。次世代PaaSでは、クラウド上でもっとスリムでスケーラブルなアプリケーションが実行できるようになるでしょう。差し当たり、私が言っておきたいことは、アプリケーション開発者はハードウェアやOSのオブジェクトに直接さわるようなコードを書くのをやめて、今の世代のPaaSを試してみよう、ということです。
アプリケーションアーキテクチャスタックは今や、ハイパーバイザ、OS、仮想マシンから、各種サービス、データ、アプリケーションコンテナまで、肥大化しているのは明らかだ。IaaSとSaaSと比べると、その登場は気弱なものだったが、PaaSはクラウドコンピューティングの次の大物になるかもしれない。あなたはどう考えるだろうか?