エンタープライズアーキテクトやSOAについて書いているTodd Biske氏がツイッター上で次の質問をつぶやくことで議論が始まった。“エンタープライズアーキテクトはMBAを持っている/取得するべきでしょうか。”この問いに対して、数人のエンタープライズアーキテクトがMBAは必須ではないがとても役に立つと答えた。
Mike Kavis氏は、以前はEAを務め、現在はスタートアップ企業のCTOを務めている。氏の考えでは “企業全体にわたる幅広いITの知識”の重要さに比べればMBAは二の次だ。しかし、氏はMBAがどのように役に立つかを説明することで自身の意見を仕上げた。MBAを取得する前、氏は務めていた企業でSOA戦略を導入しようと経営陣を説得した。氏は同僚を説得してこの最終的には成功した試みに参加してもらった。氏はこの経験からMBAを取得することを決めたのはなぜか説明している。
この過程で私が学んだのは、参加してもらった同僚が経営陣がわかる言葉で話す方法を理解していたということです。彼は会計担当者にも自分の考えを売り込めました。会計担当者が何を求めていてどんな仕事をしているのか理解していたからです。また、マーケティング部門の仕事も知っていました。ビジネスプランや財務のモデルの作成、返済期間の計算もできました。私がすぐに気付いたことは、もし私がMBAプログラムに入学し、マーケティングや経済、金融、会計、組織の指導、ビジネス法や分析などを学んでいたら、私はもっと早くこの考えを売り込むことができたかもしれないということです。なので、ITの修士を終えた後、私はすぐにMBAプログラムに入学しました。
EAにとってMBAは絶対に必要というわけではないが、役に立つというのが、氏の結論だ。
EAにはMBAが必要か。いいえ、必要ではありません。しかし、EAが一日でもマーケティングバイスプレジデントや会計監査役、顧問弁護士、CIO、セールス担当幹部、事業担当幹部などの仕事をしたことがないのであれば、MBAを持つとスマートなIT関係の人材からITとビジネスの効果的なつなぎ役になれます。私のMBA取得は私のキャリアの中で最良の投資でした。
Gagan Saxena氏はITマネージャ、そしてEAとして働いている。氏はMike Kavis氏の記事にコメントを寄せた。
技術の専門家になった後MBAを取得した人物はきっと価値があると思いますし、優れたEAになる助けにもなるでしょう。とはいえ、MBAを取れば自動的に優れたEAになれるわけではありません。EAにとって業務ドメインや産業の知識は必要なものであり続けますし、交渉力やリーダシップも重要です。
その反対に、現代のMBAコースにはEAが必要だと思います。MBAとEAの人工的な境目から遠ざからなければなりません。会計や人事、法律や経営の基本を学ぶのなら、なぜEAを学ばないのでしょうか。これらの領域には専門家がいます。しかし、部長クラスはそれらの専門家と話ができるように、これらの基本を知っていることが期待されます。
Aleks Buterman氏は以前EAとして働き、現在は企業の幹部として働いている。氏はEAはMBAを持っている方がいいという考え方を支持する。
成功するエンタープライズアーキテクトの職責は、ビジネス部門とIT部門両方の信頼できる相談相手になることです。しかし、これは最大の障害でもある場合が多いです。つまり、ビジネス戦略や経営、解析(金融を含む)、技術戦略、技術運用など、ビジネスと技術の両方にわたる複数の領域の、それぞれの領域特有の方言を話せなければなりません。ビジネス経営についての正式な教育か、現場でのビジネス戦略の管理と運営の経験がたくさんないのなら、エンタープライズアーキテクトがこれらの領域で議論をした時に、信頼を得るのは難しいと思います。
しかし、MBAを持っていない人がエンタープライズアーキテクトとして働けないと言いたいわけではありません。実際は財務の知識を理解してしまえば、MBAより優れているとは言いませんが、同等のバックグラウンドを持っていると言えると思います。そして、MBAさえ持っていれば、技術的資格のない人でも自動的にエンタープライズアーキテクトとして成功できるわけでもありません。結局、EAはさまざまな仕事に秀でた人として信頼を得なければならないので、MBAを持っていることはその信頼性獲得の邪魔にはならないと思います。
最高経営幹部とのコミュニケーションを取り仕切るためにMBAは本当に必要だろうか。それとも、EAはもっと技術的な仕事をすべきだろうか。また、MBAの取得は必要不可欠ではないものの、本当に最優先ではないのだろうか。