Gartnet によると,クラウドコンピューティングは 2010 年における最高の戦略的技術のひとつである。これに基づいてよく聞かれる質問が,需要主導型のクラウド指向データセンタ導入に関するアプローチ方法についてである。Tony Bishop 氏の 最新の記事では,企業のクラウド指向データセンタ構築を実現するための,実証済みの設計原則について説明している。
動的プロビジョニング - 時間や日などの単位ではなく,分単位のアプリケーション (およびそのランタイムリソース設定) 配信機能を提供するアプリケーション提供アプローチ。
動的実行管理 - サーバ負荷を監視し,要求されている SLA (Service Level Agreement) を基準にアプリケーションやサービスの割り当てを調整 (必要に応じて起動や停止を行う) する機能。
仮想化 - アプリケーションやサービスだけでなく,必要なリソースに関しても動的な割り当てを行う能力。これは特に,前もって過大な割り当てをせずに予期しない量の要求をサポートする上で必要なものだ。
抽象化 - インフラストラクチャのコンポーネントやレイヤの設計では,操作の詳細を他のすべての協調コンポーネントやレイヤから隠ぺいするのに十分な抽象化が必要となる。これによって各コンポーネントの実装変更が可能になり,結果的に仮想インフラを構築する機会を最大化する。
サービス指向インフラストラクチャ - 企業インフラ (ミドルウェア,接続性,ハードウェア,ネットワーク) は,協調動作するサービス (企業の方針に沿った SLA がリアルタイムで要求される) のセットとして設計されなければならない。各サービスはビジネス上の要求に基づいて計測,報告,再配置される場合がある。
要求ベースのインフラストラクチャ・フットプリント - インフラストラクチャのコンポーネントを,運用品質の面での要請に合わせて組み合わせるために必要である。
技術の簡素化 - インフラストラクチャのコンポーネントは,その利用と配布が容易であって初めて,成功したといえる。Bishop 氏はこれを,次のように考える。
これまで述べた原則を適用することは,技術を簡素化してユーティリティを成功に導く,という目標に適合するものです。簡素化された技術は優れた効率性を生み出し,データセンタを"グリーン”状態に移行させ,新しいサービスに対するより大きな開発能力を実現します。さらにはコストや無駄,配信時間を削減し,より高品質のサービスを提供するのです。
Bishop 氏の説く原則は,データセンタ設計に関する Panduit の Vibeeth Ram 氏のアドバイス に非常に近い。
... 真にスマートなデータセンタとは,コアシステム全体が統一的,統合的,効率的,持続的かつ自動化されたインフラによって,ビジネスのパフォーマンス要求に応えるものです。インフラストラクチャ管理ソフトウェアは生産環境において ... 物理的,論理的システムの両方に対して視認性を提供し,その最適化を可能にします。ソフトウェアの自動化は,システム全体とそれを支える物理インフラに対して,統合化されたサービス管理機能を実現します。そして最後に,計画的成長と変更がより低いリスクと高いアジリティで実現されることを確実にするのです。
これらの設計原則は一般的常識とも思われるが,それを実施できないことは概して,有効で完全に機能するクラウドベースのデータセンタ設立の失敗に結びつくものだ。