iPhone App Store の驚異的な成功に触発された Microsoft は,その自身のバージョンである Marketplace を Windows Phone 7 向けに提供する。App Store にならって,Microsoft も投稿前にアプリケーションの検証を行う予定である。Microsoft の John O’Donnell 氏によれば,いくつかの非常に簡単な理由で,相当数のアプリケーションが振るい落とされている という。
わずか 27 ページの Windows Phone 7 アプリケーション認定基準 (Application Certification Requirements) は,読み通すのも容易である。しかし要件の多くは,期待されるほど詳細には記述されていない。例えば規則 4.5 は次のようなものだ。
各アプリケーションには,Windows Phone Marketplace カタログ上でそのアプリケーションを表すためのアイコンを添付しなければなりません。アイコンは,XAP パッケージで提供されているものに厳密に一致している必要があります。ユーザが購入前にアプリケーションカタログをブラウズする際には,このアイコンを見ることになります。
ここに記述されていないのは,アイコンは完全に独自のものでなければならない,という点だ。デフォルトセットや無償のアイコン Web サイトなどから持ってきた古い汎用アイコンは許可されず,本当にその製品専用のものであることが必要なのだ。
他のルールはもう少し明確ではあるが,それでも開発者の犠牲はやはり無視されている。Windows Phone 7 は Windows に比較して,ユーザがコントロール権を所有する範囲が大きい。例えば資料で “トースト通知 (Toast Notification)” と呼ばれている,プッシュ通知機能を使用したいアプリケーションプログラムは,ユーザによる許可を得る必要がある。スクリーンがロックされた状態で動作するアプリケーションも,同じように許可を得なければならない。これらのルールに従わないアプリケーションは,Microsoft によって自動的に拒否される。
多くのアプリケーションが失格している,不思議なテストケースが規則 5.2.4 である。これによると,アプリケーションの最初の画面に [戻る(back)] ボタンがある場合,それはアプリケーションを終了させるものでなければならない。ただし他のページやダイアログでは,[戻る] ボタンは1つ前のページへ移動するか,あるいはダイアログを閉じる動作であることが必要だ。どうやら一部のアプリケーションは2番目の条件を見落として,[戻る]ボタンで無条件にアプリケーションを終了させているようなのだ。
他のいくつかのルールは,モバイルアプリケーション開発者の健全性を問うものである。例えば規則 5.2.5 によれば, 256 MB 以上のメモリを利用できない携帯電話の場合,アプリケーションが 90 MB を使用することは許されない。これなど,たとえデスクトップマシン上であっても,90MB 以上を消費するエンドユーザアプリケーションは懐疑の目で見られることだろう。