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アジャイオーストラリア - 開会のキーノート

原文(投稿日:2010/10/01)へのリンク

アジャイルオーストラリアカンファレンスがオーストラリアのメルボルンで、9月15日、16日に開催された。

カンファレンスのテーマは“アジャイルでビジネス価値を提供する”だ。

キーノートのスピーカーには、Jim Highsmith氏(氏がカンファレンス初日の朝にエクゼクティブ向けの朝食会で話した内容はInfoQのこの記事を参照)、SuncorpのJeff Smith氏のThoughtworksのMartin Fowler氏がいた。

Jim Highsmith氏は開会のキーノートで“スコープ、スケジュール、コストを超えて –価値を最適化する”と題した講演をした。

氏は組織のあらゆるレベルの、あらゆる側面の変化に適用することの重要さについて語った。  変化は情報技術だけでなくすべてのビジネスの分野において“新たな常識”だ。   氏は変化に応答する能力を品質の重要さと関連づける。欠陥低減率が95%以上の場合に組織に対する意義深いビジネス価値を提供できるが、ほとんどのIT部門は残念ながら、75%程度の欠陥低減率に落ち着いている。したがって、アジャイルの技術の上で常に価値を提供し続けるようになるまでの道のりはまだ遠い。

また氏は、従来のプロジェクトマネジメント手法に強固に付着している、価値提供のスピードに関する考えを乗り越えることの重要さについて論じた。  品質を最優先にすることで市場投入が早まるという副作用が生まれるだろうが、スピードを最優先にすると技術的負債の増加や市場投入の遅延が発生する可能性がある。

また、氏はプロジェクトを駆動する“三角形”の更新版を示した。従来のプロジェクトマネジメントでは、“コスト、スケジュール、スコープ”の3つの側面をプロジェクトを制御する次元として考える。  一方、アジャイルの三角形は価値、品質、制約の3つの次元で構成される。  従来の強固な三角形は新しい三角形の制約の次元に含まれる。プロジェクトはこの制約下で価値と品質を提供しなければならない。

The Agile Value Triangle from Jim Highsmith

 

 

 Jim Highsmith氏の価値提供の三角形

氏が言うには、“従来のプロジェクトマネージャは変更をなるべく小さくしつつ計画を遂行しますが、アジャイルのリーダーは避けられない変更がうまくいくように注力します。”

氏の講演のスライドはここで見える

 2番目のキーノートのスピーカーはSuncorpのJeff Smith氏だ。氏は“アジャイルでビジネス価値を提供する”と題した講演を行った。

アジャイルオーストラリアでのJeff Smith氏

氏が話したのは、Suncorpでアジャイルが情報技術グループ以外のビジネス分野に広まり初めている背景と、アジャイルを取り入れた新しい働き方がどのようにして、計測可能なビジネス価値を生み出しつつあるのかについてだ。

アジャイルを適用することは仕事の片付け方を根本的に変える。そして、それにも増して仕事の管理の仕方を変える。  リーダーシップとは人々の考え方が“できない”から“問題ない”という態度へ変わるのを支援することだ。  優れた人材を確保し、育成し、定着させるのは組織のあらゆるレベルのリーダーシップの最大の責務である。  人々は内在する要因によって動機づけられる。成績によって応援されたり脅されたりする環境よりも、個々人の情熱が認められ、その情熱が燃え上がりやすい環境を構築するほうが重要だ。

つまり、これは“失敗しても大丈夫”な環境を構築するということだ。開発者は実験ができなければならない。また、軌道修正を迅速に行うためのフィードバックメカニズムも必要だ。 

氏はSuncorpでのアジャイルを選択する上で適用した3つの重要な原則を挙げた。

  • 確実さよりもわかりやすさ
  • 完璧さより軌道修正
  • 複雑さよりも単純さ

これらの原則を遵守することは簡単ではないし、多くの組織にとって自然ではない。必要なのはアジャイルの重要な価値である信頼と尊敬、勇気と誠実さ、革新的であること責任を持つことに基づく文化を創ることだ。

また、氏はSuncorpで実践したこれらの価値への転換がどのように大きな利益を生み出したのかについて話した。氏の説明によれば、アジャイルを実践したことで市場投入にかかる時間が圧倒的に短くなり、今までの約2倍のビジネスプロセスの変更をリリースできたという。


Craig Smith氏のカンファレンス初日の様子はここで見られる。

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