アジャイル開発のモデルによって、ソフトウエア開発コミュニティのさまざまな場所で興味深いカンファレンスを生み出され、またたくさんの面白い本が書かれた。効率的な開発のためのパラダイムは正しい方向へと移行したのだ。しかし、さらに改善の余地がある部分もある。それは、アジャイルチームのための優れた採用方法についてだ。
Menlo InnovationsのRichard Sheridan氏とLisamarie Babik氏は、採用をしたかったとき、従来の雇用方法は有効でなさそうだと気付いたという。
履歴書を見ながらインタビューを行う従来の面接方法では、高度に協調的な作業環境で働く開発者としての能力を考慮できません。
Menloが行う思い切った面接手法は従来の面接手法よりもオーディションに似た構造だ。この面接では、職を求めるプログラマは二人一組になって面接を受ける。面接結果を決める要因は面接で与えた問題を解けるかどうかではなく、コミュニケーション力、チームワークや議論、問題解決力、そして技術力に伴うソフトスキルだ。この面接の過程はホワイトペーパーとして公開されている。
James Shore氏は5段階の採用の取り組みを提案する。初期段階は最小限の努力で多くの候補者を除外する。そして、後の段階になって、候補者の特定の能力について力を入れて評価する。
- 候補者による自己フィルタリング - 努力をしたがらない候補者が応募できないように障壁を作る。例えば、応募時に5つの記述式の質問を書かせる。
- 面接前のフィルタリング – 候補者が記述式の質問を提出したら、チームはそれをすぐにレビューする。チームのメンバの誰かが応募者を拒否したら次の段階は必要ない。
- 行動を伴う面接(朝) - 候補者の性格や経験について、チームがより詳しく知ることができる。
- 二人一組でのセッション(午後) - 実務上での候補者の能力や振る舞いを詳しく見る。そして翌朝、面接担当チームがORIDの形式を使って前日の感想を聞く。
- 内定 - 雇用担当マネージャが関わって内定を通知する。
Darren Hale氏も同じような複数段階の面接方法を提案する。この方法は候補者の技術、作業プロセス、個性を評価するためだ。氏によれば、
面接を技術、プロセス、個性の3つの部分に分割します。各部分には最低でも2人のチームメンバを割り当てます。これは、チームの多くのメンバが候補者と交流できるようにするためです。技術についての面接は候補者の生の技術的能力に着目し、実際にプログラミングの課題も行います。プロセスについての面接ではテストや問題解決、ペアプログラミングなどに対する候補者の考えを聞きます。個性についての面接では紛争解決、個人のモチベーション、一般的な精神の安定具合いなどを見ます。私たちはこのやり方がとてもうまくいくのがわかりました。
Johanna Rothman氏はワークショップ“アジャイルチームのための採用”で氏が集めた、候補者に対する質問を紹介している。
- 意見に相違がある議論に参加したときのことを教えてください。
- 自分が同意できないチームの意思決定に従ったときのことを教えてください
- どこかにある情報が必要で、その情報が初期段階では入手できなかったときのことを教えてください
- チームにいつもとは異なる方法を採用させることに成功したときのことを教えてください
- チームの方針に逆らったときのことを教えてください
チームにとってこれらの質問は、候補者が日々の他者とのやり取りをどのようにしているかを評価するのを具体的に支援してくれる。自発性やチームと一緒に働くときの様子も評価しやすくなる。
このようにアジャイルチームのために技術スタッフを採用することや採用されることは、経済状況がどうであれ、難しいことだ。鍵となるのは組織やチームにとって最も相性のいい人を雇うための最適な方法を見つけることだ。特定の時に所有している特定のスキルよりも素質に着目して採用をするべきだ。
Richard Sheridan氏は次のように言っている。
スキルよりも素質を重視して雇うこと。そして、面接過程に持ち込もうとしている文化そのものを強化すること。この2つが私からのアドバイスです。私たちの産業ではスキルの適合を厳密に評価して採用を行うことが多いです。しかし私は大学の新卒者に対して、こうした採用を行う雇用者は避けるように助言しています。こういう雇用者が発しているメッセージは明白だからです。すなわち、"私たちはあなたに投資するつもりはない。"