JCP Executive Committee選挙の結果がアナウンスされたが、Hologic は、批准されなかった。JCPには2つの Executive Committee(通常ECと略される)がある。 JCPのProject Management Office (PMO)は、並列化の大御所である Doug Leaに代わる新しい候補者を選ぶ必要がある。
JCPのプロセスと構造は、少しばかり分かりにくいので、いくらか背景が分かっていると役に立つ。Standard/Enterprise と Micro Editionは、それぞれ違ったJavaプラットフォームのマーケットをターゲットにしている。各ECの投票メンバーの任期は3年で、批准される席は、全部で10ヶで、5つの席がオープンの投票で決まり、永久席は、以前は、 Sun Microsystemsが、今では Oracleが持っている。
3年の任期は交互になっていて、15の内5つの席が通常毎年、批准/投票で決まる。PMOが空いた批准される席を埋めるためにメンバーを指名するが、実際は、永久席を持っている会社が新しい批准の席を選ぶことになる。JCPの既存メンバーは、オープンの投票に立候補できる。
今年の投票は、例年になく物議を醸した。少なくとも SE/EE Executive Committeeの批准の席については。Apache Software Foundation と Red Hat Middlewareの再選は、決まったが、3つ目の席は、並列化の大御所である Doug Lea氏によって空いた。これによって、 Oracleは、JCPの構成に影響を与える最初のチャンスが巡ってきた。Lea氏に代わって、 Hologicを指名したことにより、きつい批判を Apacheの Stephen Colebourne氏から浴びることになった。氏は、自分のブログで、 OracleがPMOを通して「JCPの選挙を操作している」と猛烈に非難している。
OracleのAdam Messinger氏がこの批判に、公に答える という通常無い手段をとった。
Hologicについて言えば、標準関係の人々、技術者そして技術ベンダについては、すでに充分な代表がいますが、テーブルには、新しい意見を入れる余地があると、我々は考えています。実際、Javaの成功の大部分は、 Hologicのような小、中規模の会社にいる何千という開発者によって達成されてきました。 Microsoftの最も得意なところで、真面目に働いているこれらの開発者が、.NETと競合する最前線にいるのです。 Hologicは、ビジネスをJavaに賭けました。Javaのサプライヤとしてではなく、利用者として。我々は、ECに対する彼らの考え方は、貴重だ、と考えています。彼らは、確実に、Javaコミュニティにおける1つの大きな断面の代表です。
Hologicが批准されなかった結果、PMOは、批准の席の新たな候補を指名することになる。
物議があるにもかかわらず、投票率は低いままである。投票資格のあるメンバーのたった18%が、実際に悩みながら投票したわけである。この3年間、投票率のダウンが続いている。
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2005 |
2006 |
2007 |
2008 |
2009 |
2010 |
Percentage |
35.3% |
31.5% |
33% |
26% |
21% |
18% |
これは、一般にJCPに対する失望感が増していることを反映しているのかもしれない。長年、Java SEに対するTCKのライセンシング条件を巡って、Apache と Sun (今 Oracle) が対立していたので、JCPは、行き詰まっていた。 OracleとIBMの取引 によって、やっと Java 7 JSRとその後のリリースへのお膳立てができた一方で、Lea氏の辞任レター がJCPを公にこき下ろした。氏は次のように言っている。
JCPは、もはや信頼のある仕様と標準の団体ではなく、ECに関する学問的そして研究コミュニティの独立した擁護団体としての有益な役割を持っていない。
Oracleの Henrik Ståhl氏 が答えている。
彼が JCP ECを去ることを決めた、と聞いて、私は悲しい、そして彼が引き続きコミュニティのリーダとして活躍して欲しい、とだけ言いたいです。Lea 氏のような人たちは、Oracleと他の大会社の優先順位と利益のバランスを取るために必要です。Lea 氏と Stephen Colbourne氏のようなコミュニティの少数のメンバがJCPに関して非常にきついことを言っています。言うまでもなく、我々は、現実に対するこのような暗い見方に賛成できません。我々は、JCPがJavaの標準を前進させる、よい団体であり続ける、と信じています。JCPは、絶えず改善が必要である、ことには賛成しますし、ECと一緒に取り組みます。我々は、またECには、多様な会社や個人がおり、その中の多くがOracleにとって非常に手強い競合であることを思い起こして欲しい、と思います。オープンで、活発な、そして時には白熱した議論が、利益がぶつかり合う者同士や意見の違う間で行われることは、Javaのユーザーに最高の利益を提供する標準を決定するために、必要なことです。そして我々は、ECメンバーの圧倒的大多数がこのことで我々に同意する、と確信しています。
他の人達もJCPは、救出可能だ、と言っている。この中には、JBossのBill Burkeと EclipseのMike Milinkovichがいる。
コミュニティの多く、特に Apacheの支持者は、OracleによるJavaの管理役がうまく行くのか、気を揉んでいる。このような状況を背景に、その意図がどうであれ、Oracleがほとんど誰も知らないような会社を選ぶのは、リスキーで、見合わない。次に誰を選ぶのかは、興味深い。それに対する一つの選択肢は、オープン投票で21%獲得して3位となったBob Lee氏を選ぶことである。