Amazonはハイパフォーマンスアプリケーション向けにクラスターGPUインスタンスが利用可能になったと発表した。これは2つのNVidia Tesla GPUから128インスタンスのクラスターにまで対応し、財務分析、画像処理、バイオ、シミュレーションなどの分野にアピールするものだ。
HPCパフォーマンスを必要としているが、金銭的に余裕がなかったり、セットアップの初期コストを払いたくない人たち向けに、AmazonはクラスターGPUインスタンスを提供する。クラスターGPUインスタンスはHPCグループのインスタンスに属しており、Intel Xeon X5570クアッドコアNehalemプロセッサをベースに33.5 EC2 Compute Unit相当を提供する。Compute Unitとは2007年製造の1 GHz OpteronまたはXeonプロセッサと同等の計算パワーを提供するものだ。さらに、GPUインスタンスには2つのNVIDIA Tesla Fermi M2050 GPUが含まれ、それぞれ、倍精度浮動小数点演算で515 Gflops、単精度小数点演算で1Tflops、帯域148GB/secの384ビットバスアクセス3GB DDR5 メモリを提供する。また、内蔵RAM 22GB、ディスクストレージ1690GBも含まれる。ユーザはクラスターに最大128インスタンスを構成することができ、それらの間は10Gbpのネットワークリンクで通信可能になっている。
現在のところ、クラスターGPUインスタンスをサポートしているのはLinuxだけで、開発者はFORTRAN、C、C++、Java、Python、Rubyを使って、GPUのCUDA Driver APIやCUDA C Runtimeに対してプログラムを書くことができる。HPCアプリケーションでよくある大量のデータを扱うときには、Amazon Elastic MapReduce WebサービスとPublic Data Setsを利用することもできる。クラスターGPUインスタンスは現在のところUS-N.Virginia地域でのみ$2.10/時間で利用可能になっている。
Peer1、Nimbix、Penguin Computing、Hoopoeなど、クラウドでGPUを提供しているベンダーもいる。彼らはNVidia TeslaもしくはAMD FireStream技術に基づくソリューションを提供している。こうしたベンダーの数はここ数年で増加するものと予想される。GPUはその高いプロセッシング能力のおかげで計算を要するアプリケーションにとって魅力的なものとなっており、従来のCPUから汎用計算機能を徐々に奪っていくだろう。