Amazon は Route 53 という名称のクラウドサービスを開始する。クラウド内で DNS サーバを実行するために必要な機能を維持費なしで提供するもので,同社の他の AWS サービスと同じ完全従量制 (pay-as-you-go) を採用している。
Route 53 は,DNS 名称の管理と DNS クエリへの応答を行う,Amazon の Web サービスである。このサービスは Amazon のクラウド内で動作して,DNS コンテンツサーバ (Authoritative Server) の機能を提供するもので,REST API を通じてアクセスする。ユーザはこの API を通じて ゾーン の生成と管理,DNS レコードの登録を行うことができる。ゾーンが作成されると,サービスは4つのネームサーバを生成し,それぞれのゾーンに定義されるドメインへの問い合わせに対して応答する。Route 53 は Amazon クラウド内,自社,またはその組み合わせの上でドメインサービスを提供する。
Amazon は高可用性と低レイテンシを備えた DNS サービスを提供するため,米国各州に9カ所,ヨーロッパでは4カ所,アジア3カ所でのサービス提供を予定している。リクエストを最も近いサーバにルーティングすることで,Route 53 は最速のレスポンスを実現する。さらに Amazon は,すべての DNS クエリの処理要求量に応じて,十分な透過性を備えたスケーラビリティの提供も保証している。
DNS サーバでは,変更の伝播の遅れが時に大きな問題になることがある。Route 53 の更新速度は示されていないが,Amazon の CTO である Werner Vogels 氏は “Route 53 は更新を非常に高速に伝播するように設計されています。またすべての更新の伝播を確認するためのツールを提供します。” と語っている。
他の AWS サービスと同様,Route 53 にも従量課金モデルが適用される。ゾーンおよびクエリ数に応じた料金が設定され,サービス実行に必要なインフラの維持および管理作業を Amazon が担当する。
- 1ドル / ゾーン / 月
- 0.50ドル / 最初の1億クエリまで 100万クエリ毎 / 月
0.25ドル/ 1億クエリ以降 / 月
このサービスでは,100 件のゾーン生成とホストが可能である。それ以上の数のゾーンを生成するには Amazon への問い合わせが必要だ。なお Route 53 という名称は,DNS サーバがクエリの送受信に使用する UDP ポート 53 に由来する。