"エンタープライズアーキテクチャ(EA)"が公式なものになって10年になるが、いまだにこの領域は、その確固たる基盤を探し続けている。多くの企業はそうする必要性を感じていて、実際に探しているが、いまだにその理由と方法を議論し続けているのだ。
JP Morgenthalは数ヶ月前次のように主張した。
エンタープライズアーキテクチャを実行することを目的とするエンタープライズアーキテクチャは、一見、妥当で重要な活動のようにみえるが、ふり返ってみれば、関心を目的もなく探し続けるあがきにすぎない。私たちは業界全体から常にこのことについて耳にする—EAは関心を得られていない...EAはその戦略的重要性を認められようと四苦八苦しているのだ。
そして、次のように結論づけている。
- 自分たち以外の世の中にEAの重要性を理解させようとすることをやめ、それが変換作業の重要な構成要素であるということを単に確かめること。
- IT専門家はよりビジネスマンのように考え、エンジニアのように考えないようにする必要がある。
"IT Blagger 3.0(訳注:IT強盗3.0の意。ブログ名でもある)"であり、富士通のクラウドアーキテクトでもあるIan氏はJPの議論を拡張した。
EA実践者は自身が働いている企業の目的と能力を深く理解することを可能にすることにずっとフォーカスすべきである。しばしば妨害ですらあるような、つながりのないIT戦略や統治ルールを引き受けるためではなく、戦略の選択肢と適切な行動の根拠をずっと明らかにすることを促すために。
Ian氏の組織では、ビジネス要素のポートフォリオとして、ビジネス能力マップを開発した。彼にとって、これらの能力がどのように展開されているかを理解すること自身は必ずしも目的ではなく、ほとんどの人はその詳細さで知る必要性を感じていない。彼は、各能力の目的と広く行き渡った成果を理解することはより重要であると感じている。Ian氏は、次の詳細さのレベルが必要になるのは新たなプログラムがそれを必要とすると感じられるときに限る、と考えている。
私たちは、組織にある資産(それは例えばプロセス、人員数、役割、アプリケーション、インフラストラクチャ、データなど)を横並びの資産として、おおよそのポートフォリオが見えるよう保持している。その横並びの資産は、ある種の関係が存在するが、個々の能力や、広い範囲のシステムの課題、あるいは、潜在的な変更のインパクトの規模を根拠を持って把握することができるようにするためには十分だという程度であり、特別詳細化されてはいない。
彼の意見では、重要なことは、企業がどのように活動しているかの中央集権的な視点を保持することが - そのような視点の価値を正当化するコストにおいて - 不可能であることである。彼は同時にEAの伝統的な視点(人、プロセス、技術)は、あまりにも単純化されすぎていて、ビジネスモデルの多様性をサポートすることができないとも主張している。彼は違う抽象レベルを対象とし、意志決定やその実装におけるずっと大きな集合体をつくることを促進するような、前後関係をともなう適切な方法で生成されたビジネスアーキテクチャを作成することを主張している。
実際、理解と行動を可能にする知見のためのフレームワークは、情報過多、混乱、無為の原因となる – そしてほとんどが過去のものとなっている – データのかたまりよりもずっと価値のあるものである。
彼は、EAの視点から考えて、もはや企業が活動しているエコシステムを無視することはできない、と考えている。クラウドの役割を再考し始めるべきかもしれない。それは単にコンピューティングのツールであるという考え方から、伝統的なITが展開し得る以上にオープンでコラボレーション可能な形でビジネスの能力の具現化を提供するものであるという考え方をすべきかもしれない、ということだ。詳細化指向の中央集権的な方法で運営されているEA組織はそのレベルで考えることはできないかもしれず、したがって、クラウドの利点を最大限に活用することはできないかもしれない。
EAの価値、役割、方法についての議論は、おそらく今後しばらく続くだろう。しかし、挑戦と失敗の10年のあと、ビジネスアーキテクチャに対するクラウドとモビリティの圧力を受けて、あなたのEA組織を綿密に見直す時期にきていることはおそらく確かである。あなたは何を引き受けるのだろう?