Amazon Simple Email Service (SES)は大量かつトランザクショナルな電子メール配信サービスであり、Amazonの数百万の顧客に対し電子メールを送るために長年利用されてきたAmazonのインフラストラクチャの上に構築されている。このサービスが実現しようとしている主要なタスクの1つは、スパムに対処するためのフィルタリングを実施して宛先ISPによって拒否されることのなく大量のメールを配信することができるサービスの提供である、とAmazon SESの技術プログラムマネージャChris Wheeler氏は強調する:
最初のメールを送る前に必ずきちんと整理し見直さなければいけません。さもないと、あなたの送ったメールはスパムフォルダに到着し、まったく配信されなかったり、それ以上メールを送ることを遮られてしまうかもしれません。
スパマーがSESでメールを送ることを回避するため、Amazonはいくつかの戦術を用いている。電子メール1通ずつ、そのメッセージがスパムかどうか、マルウェアを含んでいるかどうかを確認するために送られる前にプログラムでスキャンされる。Amazonのフィルタでスパムであるとタグづけされたメッセージは配信されず、内容を変更するためにユーザに戻される。ユーザは、メッセージがAmazonのフィルタを通過した場合だけでなく、スパムであるという理由で宛先ISPに拒否された場合にも報告を受ける。このことにより、Amazonはあるユーザから送られるメールの品質について理解することが可能になり、ライブラリはさらなる調査が実行されるまでスパム行為を行っていると考えられるアカウントを停止する。
サービスを利用したくなった企業は、1日に最大200通のメッセージを検証されたアドレスにのみ送ることが出来る制限されたSESアカウント“サンドボックス”を使って利用し始める。これによって、メールを送るアプリケーションを開発したりテストしたりすることができ、フィルタを通してメールを送ることに対するよい評判を得ることができる。次のステップはプロダクションアカウントであり、検証されていないアドレスにもメールを送ることが出来るが、1日に送ることのできるメッセージは1,000通に制限されている。この割当量はユーザの要求と“送るメールの総数、拒否や戻りの数、発生した苦情の数”といったいくつかの要素の組み合わせで徐々に増やされる。すべての条件が満たされれば、割当量は3日後には1日10,000通まで増え、2週間後には1日100万通になる。1秒間に送ることのできるメールの数に関する制限もあり、1秒に1通から始まり、その後1秒に10通になり、もっとも多くなると1秒に90通になる。1日に送るメールや1秒に送るメールの数は、Amazonにコンタクトを取り、特別な承認を得ることでさらに増やすことができる。このプロセス全体はユーザーがSESを利用してスパムを送ることがないことを保証するために設計されている。
SESはAPIを通じてプログラムによるアクセスが可能である。APIはアドレス検証、メール送信、送信統計の取得のためのメソッドを含んでいる。コマンドラインでも利用可能であり、また、SESを通じてメール転送エージェントにルーティングすることもできる。
EC2サービスのユーザはAmazon SESを1日2,000通は無料で利用できる。さらに必要な場合、1,000通のメール送信に対して$0.10を支払う必要がある。追加料金がAmazonに、あるいはAmazonから配信されるデータの総量に対して適用される。