Jim Collins氏はその有名な著書“ビジョナリー・カンパニー2(Good to Great)”でよい企業が偉大な企業に変わるには何が必要か氏のチームが5年かけて調査したことについて述べている。アジャイルは偉大な企業を作り出すことを支援できるのだろうか?
Jean Tabaka氏は組織の飛躍を潜在的に助け得る真にアジャイルな組織の10の特徴のリストを提示した。Jean氏は重要度の昇順に次のように特徴を示している。
- ワーク/ライフバランスと安定したリリースの両立 – 個人や組織の目標に向かって専念しているチームに権限を与えること。短いリリースサイクルを行う規律をつくること。
- 奉仕者かつリーダーであること - マネージャが行うべきことのすべては、先導による奉仕であり、奉仕による先導である。チームに対する決断を行う代わりに、マネージャはチームのコミットを支援すべきである。
- 継続可能であること、そして成功すること - 継続可能なペースと安定性を維持し、組織のすべての部門が顧客の価値に焦点を当てるべきである。
- コミュニティに貢献し、利益の出せる企業を維持すること – 利益になることやコアなビジネスとは別に、コミュニティによい影響を与えることはフォーカスすべき領域である。
- 協力的でかつ優秀であること – 優秀な人材を雇用し、その知性を広めるべくコラボレーションを促進させること。
- ボトムアップの決断とトップダウンの決断の両立 – リーダーは知識労働者から知識を得たり、その逆に知識を与えたりしてサイクルを完成させる。暗黙知は形式知を助け、形式知を啓発する。
- 個人的な柔軟性とリズム – リリースと価値の定常的なサイクルをつくりだすこと。
- 品質とスピード – 組織全体が価値の展開と価値に関する素早いフィードバックに焦点を当てること。
- 独自のリアリティと企業のビジョンをつくること – アジャイル組織は、明確に定義された厳密な役割を持つことによって企業のビジョンを組み込むことよりも、企業のビジョンを情熱で動かすような偉大な個人を雇う。/li>
- 偉大になるというコミットメント: 規律ある文化と測定指標 – ワーク/ライフバランス、ボトムアップ-トップダウン決断、奉仕リーダーシッププラクティス、イノベーションプラクティス、そして技術的負債などの測定指標は組織が偉大になるまでの道筋のどこにいるかをはっきりさせてくれる。
同様に、Mike Beedle氏は真にアジャイルな組織の次のような特徴を強調した。
- マネジメントのピラミッド構造が逆転している
- タスクを完了させる自由が手の届くところにある
- 常に学び続け、知を創造し、共有すること
- より楽しめる、人間的な作業環境
- 超生産的かつ協力的な作業モード
- 突如発生する計画、アーキテクチャ、要求
- 企業文化を創り出す新しい価値
- クオリティ・オブ・ライフ
Mike Cottmeyer氏は組織によらず見いだすことのできる、アジャイルの成功のエッセンスに関するパターンのリストを提示した。Mike氏によると、
私はこれまで幾度となく、アジャイルの適用に成功したり、大規模な企業のアジャイル転換に成功したりするための基礎にはパターンがあることを見てきた。ここに挙げるのは、私が最も重要と考えるものとその理由である。
- 機能横断型チーム
- 権限を与えられたチームメンバ – 焦点はビジネスの成果であり、チームは自分たちの道を選び、決定を下す権利を与えられていること。
- ビジネス側の声が一つであること – ビジネス側は開発チームにとっての優先度と価値を定義する必要がある。
- 共有された責任 – 誰もがビジネスの成果の所有権を共有していること。
- 奉仕型リーダーシープ
- 継続的な価値のフロー – 組織が一定の調子で価値を提供し続けていることを確認すること。
- 活動に対する価値 – どんな活動も企業に価値の付加をもたらすことができるはずである。
- 技術的卓越への注視 – 時間とともに積み上がった技術的負債の総量を最小化するために継続的監視をすべきである。品質、信頼性、拡張性をもっとも初期の段階から組み込むこと。
- 完全にオープンで透明であること – 真にアジャイルな組織では、何も隠すことはできない。人々は隠れない。進捗も隠せない。測定指標も隠せない。悪い品質も隠せない。リスクも隠せない。障害も隠せない。
- 信頼 – 人々がお互いに信頼し合う環境と文化。
見てきたように、特徴の多くは、権限を与えること、コミュニケーション、コラボレーションに大きな重要性を置いている。その鍵は信頼と学習を促進させ、継続可能な速さでビジネスの価値を提供することである。