新しい年が始まろうとするにあたり、調査アナリストはクラウドコンピューティング分野における最も有力なトレンドを決めるため、ここ数ヶ月間予測のための調査を水晶玉をのぞき込むかのように行い続けた。クラウドコンピューティングはこの3年の間にバズワードや誇大広告といったものから現実のテクノロジーとなり、すべての主要ソフトウェアベンダは先を争ってソリューションを提供しようとしている。2011年には、ベンダやアナリストは、世界中の大小さまざまな企業でクラウドコンピューティングの先駆的活動がIT予算項目の形で実際のコミットを得て、大きく採用されることを期待している。
業界の状況
Amazon AWSは、最大の製品ラインともっとも成熟したサービスを提供するクラウドインフラストラクチャを提供する、IaaS分野の先駆者である。 RackspaceおよびGoGridは多くの顧客を持ち、そのホスティングソリューションにクラウドコンピューティングの特徴と機能を追加することでソリューションを成熟させている。
PaaS/SaaS分野では、Microsoftがこの過ぎようとする年にクラウドコンピューティングプラットフォームAzureをリリースした。 Salesforce.comはForce.comを強化し、Database.comをリリースし、Herokuを買収した。 GoogleはGoogle Apps、BigTable、 Google App Engineを保持している。
オープンソース側では、Cloud.comがAmazon AWS Web Services API、Citrix Cloud Center、VMwareのvCloudなどをベースとしたCloudStack 2.0をリリースした。 NoSQLデータベースはCassandra、Hadoop/HBase、CouchDB、MongoDB、Membase、memcachedb、Neo4J、FlockDBなど数多くあり、そのリストはまだずっと大きくなり得るようにみえる...
2011年のトレンド
クラウドコンピューティングの影響に関してどのような状況にあるかを伝えるため、Gartnerは10月後半のITxpoでIT CIOや執行役員に対する戦略的技術トップ10の中に5つのクラウドコンピューティングベースの動きを掲げた:プライベートクラウド、ストレージクラスメモリ、ソーシャルネットワーキングとコラボレーション、ユビキタスコンピューティング、そして、ファブリックベースインフラストラクチャである。 まさに今日、ForbesはChirag Mehta氏、Ray Wang氏と共同で14ポイントのリストを発表した。その中で、彼らはクラウドの導入に関する議論は"いつ" から"どのように"に移っていて、クラウドソリューションは将来のイノベーション投資を見据えたコスト最適化を提供するようになると書いている。
Chirag Mehta氏とRay Wang氏は次のように予測する:
- 新たに調達されることはなく、クラウドソリューションに取って代わられる
- プライベートクラウドはパブリッククラウドへの足がかりとして提供される
- クラウドの顧客はクラウドのセキュリティに関する厳しい質問を問いかけ始める
- プライベートクラウドはセキュリティとパブリッククラウドソリューションのバックアップを提供する
- アプリケーションをうまく組み合わせていた状況からクラウドのメガスタックへの移行が起きる
- 最後の1マイルに対する、アプリケーションマーケットプレイスとエコシステム、システムインテグレータとソフトウェアベンダの活用が起こる
- 優れたユーザ体験とスケーリングが排他的なものでなくなる
- カスタムアプリケーション開発がクラウドにシフトする
- サービスとしての開発(Development-as-a-Service)とサービスとしてのプラットフォーム(Platform-as-a-Service)の融合が期待できる
- 豊富なライブラリを持ち、データ統合を超えたところに進むシステムインテグレータに資金を投入する
- コンシューマテクノロジの機能がエンタープライズに提供される。まずは分析分野に、次にモバイルやソーシャルの分野で起こる
- 顧客はよりよい仮想化技術を要求するようになる
- クラウドコンピューティングの有効性を目的として、全テクノロジを簡素化しようとする動きが形成される
- オンライン上のアーカイブデータのアクセスが、中心的なクラウドのコンピテンシーとしてガバナンス、規制、コンプライアンスを決める
Datapipeは2週間ほど前に2011年に出現すると期待される3つの主要なトレンドを公表した:
- よく知られた名前の企業が大きなクラウドに関する決断を行う
- エンタープライズレベルのSLA
- 特定の業界をターゲットにしたクラウド
"かつて多くの誇大広告に囲まれた無名のテクノロジだと考えられていたものが今はITを革新しようとしている"とDatapipeのクラウド戦略およびアーキテクチャ担当副社長 Ed Laczynski氏は述べている。"現実は、私たちはクラウドでできることのごく表面をひっかいているに過ぎず、2011年には全クラウドコンピューティングエコシステムから大きく採用され価値を生むような、著しい進歩が起こるだろう。"
10月はじめ、ParallelsのJosh Bell氏は氏が考える3つのトレンドについて書き、ダークホースの予言を続けた。
- 特にコミュニケーションサービスプロバイダとITチャネルにおいて、プロバイダがずっと深く、幅広くクラウドの舞台に入り込むことが期待できる
- クラウドは中小企業にフォーカスするようになる
- クラウドサービスのシンジケーション
- 使いたい放題のクラウドサービス
ForresterのJames Staten氏は11月半ば頃まとめを提示した:
- Empoweredが私たちを導く - これはForresterの新刊本Empoweredにもとづく
- プライベートクラウドを構築しようとし、失敗する
- ホスティングされたプライベートクラウドが内部クラウドを3:1の割合で上回る
- コンプライアンスのおかげで、コミュニティクラウドが生まれる
- ワークステーションのアプリケーションがHPCを大衆化する
- クラウド経済が始まる。 安くあることがいいことになる
- BIギャップが拡大する - これはリアルタイムの情報配信によるものである
- 情報が力となり新しい利益センターとなる
- クラウド標準はまだ有効にならない - それを乗り越えるべきだ
- クラウドセキュリティは認められるが、それはプロバイダだけによってではないだろう - HIPAA、PCI、ISO 27001/2の共有コンプライアンスとして認められるだろう
まとめ
来年はクラウドコンピューティングがバズワードから現実のテクノロジに移行することは約束されているようだ。 多くの人が中小企業から大きな企業、名の知られた企業まで産業界のいたるところで採用されることを予測している。 投資は最初CIOやIT部門が短期的に少し手を出すプライベートクラウド投資として行われ、長期的にはパブリッククラウドに移ると期待されている。
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