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ソーシャルネットワーク、アジャイル、そしてクラウドはオフショアソフトウェア開発を変化させているのか?

原文(投稿日:2011/02/08)へのリンク

有名な著作である『フラット化する世界』において、Thomas L. Friedman氏は、多くの国々がグローバルなサプライチェーンの一部になっていくという収束現象について語っている。ここから、経済学の新しい法則が定義された。Israel Gat氏はこの考え方をさらに押し進め、ソーシャルネットワークと共同作業のための技術のおかげで、ソフトウェア開発は、場所に依存しなくなるとしている。

歴史的に見れば、オフショアソフトウェア開発でアジャイルを用いることは、若干の課題はあるものの、うまくいっている。Martin Fowler氏はアジャイルとオフショアに関する自身の経験を解説して、これを組み合せることの長所と短所に言及した。また、Jeff Sutherland氏は、SirsiDynixがスクラムを使ってオフショア開発チームと統合している方法について解説した。これと似た路線としては、Thushara Wijewardena氏は、Kanbanがオフショア・プロジェクトにもたらすことのできた利益について示唆している。彼女によると、

Kanbanをスクラムの規律と合わせて考えるのは、よい組み合わせだと私は思います。重要なのは、こうした手法をオフショアの環境で試してみて、利点や欠点について考察し、オフショアにおけるアジャイルの実践を改善することなのです。

Kuadriga氏は、オフショア開発のためにスクラムを使い始めたときに気づいた多くの利点について言及した。彼らによると、

離れているということの障壁を壊し、チーム内での信頼関係を促進する上で、スクラムはきわめて助けになることがわかりました。「チームビルディング」の活動は、新しいチームにうまくスタートを切らせる上では必要です。そして、すべてのチーム・メンバが年に2、3回顔を合わせるようにすることは役に立つのです。

しかしながら、ソーシャルネットワーク、クラウド、およびKanbanの出現は、アウトソーシングのダイナミクスを変化させたのだろうか

Israel氏は次のように提案する。

ソフトウェアにおいて重要なのは、もはやどこで行うか、ではありません。シリコン・バレーでも、シアトルでも、バンガロールでも、クラクフでも、テル・アビブでも構わないのです。むしろ、ソフトウェアにおいては急速に、仕事の流れが問題となってきています。こうした流れは、ソーシャルネットワークと共同作業のための技術によって一つに結びつけられます。これらによって、開発現場や会議室、ソフトウェア成果物が格納される擬似的な棚やウォーター・クーラなどが、仮想的なチーム空間によって置き換えられます。

Israel氏によれば、流れとして開発されるソフトウェアには3つの原動力があるという。

  • 才能の不足″sxなスキルを持ったプログラマが、40km圏内で必ずしも見つけられるというわけではありません。・
  • オンデマンド・コンピューティングの経済学<Nラウド基盤の出現により、巨大なソフトウェア・ハウスとも比較しうるコンピューティング環境が多くの人によって利用できるようになりました。・
  • 要件の変質<Aジャイルムーブメントにより、クライアントにとって価値のある単一の機能にまで細かい粒度に分解されたユーザストーリが重視されるようになりました。これにより、開発がさまざまな流れをまたいで行えるようになります。・

Israel氏は、開発マネージャが、こうした傾向を非常に効果的に利用できていると示唆した。

先見の明のある開発マネージャは、すでにこうした3つの傾向を利用し、生産性、市場投入までの時間(time-to-market)、ソフトウェアのコストにおいて目覚しい成果をあげています。こうしたマネージャは、優秀な技術者を、どこに住んでいても前述したような市場を通じて、タスク単位で「獲得」することができます。必要とする時にはいつでも、Amazon Web Servicesや類似のプロバイダの優れたサービスを通じて、安価にコンピューティング資源を手に入れます。そして、Kanbanツールによって、分散したプログラマとテスタの仕事の流れを効果的に監督するのです。「秘密のソース」のこれらの3つの要素は、これらを利用する上での主導権を握りたいと考えている人なら誰でもすぐに利用できます。

Israel氏によると、上記の要素を組み合わせることで、純粋なオフショア・アウトソーシングによって認められる付加価値がかなり減少する。氏によれば、開発マネージャ自身が、ソーシャルネットワークの力を利用することができて、LeanKit Kanban、oDesk、SococoやuTestのようなツールを用いてソフトウェア開発を行えるのであり、それによって技術者を連れてくるのに、アウトソーシング先に頼る必要がなくなるというのだ。このことは、アウトソーシングのダイナミクスを大幅に変える。

このように、アジャイル手法は、歴史的に見れば、オフショア開発をうまく機能させてきた。しかし、世界がフラット化している今、クラウドの台頭やKanbanのような技術に対する関心のため、アウトソーシング・モデルは変わりつつある。Israel氏は次のように説明する、

私がアウトソーシングビジネスを行っているとしたら、最近の傾向に神経質になっていたことでしょう。労働の鞘取りを通して価値を再度獲得するというこのビジネスの能力は、双子の「兄弟」によって浸食されつつあります。それがソーシャルネットワークとKanbanです。3人目の「兄弟」、すなわち、クラウド・コンピューティングによって、この浸食はさらに速まっています。

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