反応戦略、つまりアジャイルであることとアジャイルすることはアジャイルな組織の柔軟で効率的なリーダーシップにとって重要だ。Jim Highsmith氏はAgileAustinが主催したイベントでリーダシップについて語り、リーダシップによってどのように組織の敏捷さを維持し、加速するかについて説明した。氏によれば、アジャイルのリーダーはビジネス上の目的を達成するための道具としての品質や速さに注力すべきだ。
リーダーは効率性よりも反応性を重視してアジャイルビジネスの戦略を構築し、ITの俊敏性のロードマップを作成するべきだ。そしてこの戦略は製品の定期的なリリースを含む。ITチームは継続的な開発、いわゆる継続的な統合だけに作業プロセスを限るべきではない。継続的な提供(継続的な開発、統合、開発の3つの段階を含む)も実践しなければならない。氏は組織における運用やポートフォリオ、そして戦略上の敏捷性のレベルのような異なるレベルの敏捷性について話した。ビジネスの戦術/運営と同じくらい戦略的な反応性と俊敏性がある領域を会社の中にみいださなければならない。
柔軟なリーダーシップはアジャイルであることとアジャイルすることのふたつの次元を含む。アジャイルをするにはリーダーは具体的な原則や実践と同じようにビジネスの視点から戦略的にアジャイルすることを理解しなければならない。そうすることで組織がビジネスの嵐を切り抜けられるようにする。反応性(俊敏性)、収益性、市場でのシェア、そして顧客の満足。これらのビジネス上の目的を達成するためにはアジャイルのリーダーは以下のてこいれをする必要がある。
- 品質:品質の側面では技術的負債を管理しなければならない。技術的負債の扱いに失敗すると膨大なコストと高リスクを生み出す可能性がある。技術的負債を扱うための投資を継続するとともに、リーダーは品質の測定に注力する必要がある。
- 節約:顧客が喜ぶ最もシンプルなことを行う。氏はアプリケーションの64%の機能はほとんど、あるいはまったく利用されていないということを指摘すうr。したがって、適切な機能を実装することが重要だ。仕掛かり作業とマルチタスキングを減らすことでリリース物の成果が成し遂げられるのだ。アジャイルの価値の曲線は同じ組織の異なるプロジェクトのタスクの優先順位を設定するのに利用できる。プロジェクトレベルではなく組織レベルでのアジャイルを認識するのに有用だ。
- 参加/啓発:リーダーは自律性と専門性と目的意識を持った自己組織化するチームが生まれるようにするべきだ。
- スピードを尊重する:アジャイルトライアングルの3つの頂点、価値(リリース可能な製品)、品質(信頼できる柔軟な製品)、制約(コスト、スケジュール、スコープ)を正しく管理することで価値を実現できる。さらに機能レベルの価値についても計測するべきだ。氏はGAPのような組織がビジネス価値を計測するために利用しているバリューエンジニアリングモデルを説明した。
柔軟なリーダーシップの第二の軸は“アジャイルである”ことだ。多くの価値や原則に基づいた“アジャイルである”ためには、リーダーは継続的な提供のような実践と持続的なアジャイルについての考えをどのように合成することで感度の高いIT組織を作るのか理解する必要がある。
柔軟なリーダーシップの振る舞いは従来のリーダーシップとは違う。従来のマネージャーは最小限の変更しか起きない計画を実行しようする。アジャイルなリーダーは避けがたい変更を問題なく実施することに注力する。また氏はその他のアジャイルのリーダーシップの特徴についても説明した。例えば、従来のリーダーシップは計画的であるが、アジャイルは柔軟さを特徴とすることなどだ。また、氏が言うにはアジャイルのリーダーは計画-実行手法よりも想像-探索手法を使う。もともと促進的な体質のアジャイルのリーダーはチームのメンバの間に協力体制の確立を押し進める。自己組織化とは無秩序のことではないし、柔軟なリーダーシップとはリーダーシップがないということではない。リーダーとして間違ったことをしてしまうのは仕方がないが、不確かな状態にあるのは問題だ。
氏はすべてのモデル(ウォーターフォール、PMI、CMMI、デミング、スクラム、XP、カンバン、リーン)は何らかの限界があるが、どれも潜在的には便利なものであり、アジャイルの最適な実践とは"ハイブリッド"なものになるのが普通だ、と結論づけた。状況に合わせて各モデルの効率性を改善していることが必要だ。