今日のクラウドの状況は、初期のSOAの状況に少し似ている。企業向けITにおいて、皆がそれについて語っているが、基幹システムを自身のデータセンターからパブリッククラウドに移行しているユーザは極めて少数だ。実際のところ、多くの企業は、仮想化環境の構築の成功の延長として、自分たちのデータセンターの中にプライベートクラウドを構築しようとしている。Amazon Web Servicesが既に4年以上の実績があるにも関わらずだ。
昨日、MomemtumSI社は、「Tough Software Solutions」を発表した。これは、VMWare vCloud DirectorやEucalyptusといったIaaSプラットフォームに伸縮を可能とするレイヤを加えるサービス群だ。サービスには、アプリケーションへの要求を複数のマシンに分散させるロードバランシング、複数のデータセンターやクラウドプロバイダをまたがったクラウドサービスの状態をモニターするためのCloud Monitoring、利用されるレベルに応じてマシンを追加、リリースすることができるオートスケーリングが含まれる。
これら3つのサービスは、Amazon Web Serviceに厳密な互換性のあるAPIを通して利用できる。Amazon Elastic Load Balancer、Amazon CloudWatch™、Amazon Auto Scalingの各APIだ。
InfoQは、MomentumSI社のCEOであるJeff Schneiderから次のような話を聞いた。
私たちの企業顧客は、プライベートクラウドに強い関心を示してきた。彼らはAmazonで実行できるすばらしい機能を見てきて、これを自分たちも行いたいと望んでいる。しかしながら、メインフレームやAIXなどのレガシー環境および多様な環境と接続するWebをもっており、それによって、クラウドプロバイダへと一足飛びに移行することができないでいる。彼らには、2つの選択肢がある。一つ目は、まだ未開発なアプリケーションのいくつかをパブリッククラウドで運用するというものだ。これはすばらしいことだが、システムの一部にしか適用できない。2つめは、クラウドのように動作する自身のデータセンターを構築することだ。企業は、開発者やテスト担当者に、瞬時にサーバやロードバランサなどをプロビジョニングしてほしいと考えている。現在では、これらをきちんと動作させるためには数ヶ月かかることもよくある。また、データベースやメッセージキューのようなものの共通プラットフォームも望んでいる。大半の企業は、統合およびPaaS化をまっている様々なぐちゃぐちゃなプラットフォーム群を所有している。
氏は次のように続けた。
大企業では、パブリッククラウドプロバイダに移行すると決定するまで数年から十年かかるところもあるだろう。プライベートクラウドは、それまでの移行パスを提示してくれる。これが私たちのソリューションが、業界をリードするクラウドプロバイダであるAmazon Web Servicesとの互換性をもたせることに力をいれている理由なのだ。
クラウドコンピューティングのプラットフォーム側は、企業向けにとって現在曲がり角にいる。IaaS、もしくはPaaSでさえ、ITのデプロイや運用のソリューションを大きく変更しない。プライベートクラウドは、企業向けクラウドコンピューティングの足がかりになるのだろうか。2020年になっても大企業はデータセンターを運用しているだろうか。あなたはどう考えるだろうか。