MacRuby プロジェクトが MacRuby 0.10 をリリースした。プロジェクトを 1.0 リリースに向けて進めるべく,バグフィックスといくらかの改善が行われている。
MacRuby 1.0 のリリースされる時期は不明だが,Mac OS X 10.7 "Lion" には MacRuby が含まれるようだ。しかし,Matt Aimonetti 氏の指摘するところでは,
ただひとつの問題は,Apple が MacRuby を他の OS X 開発者たちと共有せず,OS のプライベートなフレームワークに置くと決めたことです。この決定自体がプロジェクトに影響することはありませんが,私のような OS X 開発者にとっては,Lion のプライベートな MacRuby フレームワークへのリンクが許されないため,アプリケーション自体に MacRuby をバンドルせざるを得ない,という点が問題なのです。
MacRuby を OS X の公開部分に配置してくれれば,MacRuby でプログラムを書く開発者たちがランタイムを同梱する必要はなくなるが,その一方で Mac OS X に含まれる MacRuby のバージョンに縛られることにもなる。バグフィックスがどの程度迅速に行われるか,開発の成果がどれほど早く統合バージョンに反映されるか,現時点では分からない。
MacRuby がプライベートフレームワークのままなら,公開フレームワークのみをリンク対象とする,という AppStore アプリケーションの条件も満足できなくなる。ただしもちろん,開発者がアプリケーションに MacRuby を同梱する,という手段は残されている。
MacRuby を使用したアプリケーションを Mac AppStore に登録することは可能だ。その一例は,現在 Mac AppStore で入手可能な QuickAlarm だろう。
もうひとつ,現在開発中で Mac AppStore にはまだ登録されていない MacRuby アプリケーションとして RedWood がある。開発中は無償で入手可能だ。
MacRuby での開発を始めてみたいと思っている開発者には,充実を続けるリソースのリストがある。初心者は 前述の Redwood アプリケーションに関するブログがよいだろう。自己完結形式の MacRuby を XCode 4 で開発する方法など,有効なティップスが紹介されている。
MacRuby の入門書として,現在2冊の本が執筆中である。
- Matt Aimonetti 著 "MacRuby: The Definitive Guide" 。現在は早期リリースが公開中だ。同氏の MacRuby に関する書籍は,オンラインでも無償公開されている。
- Brendan Lim,Paul Crawford 共著 "MacRuby in Action"。
MacRuby のソースリポジトリは現在,GitHub で公開されている。ナイトリービルドも同様に入手可能である。
最後に,よく聞かれる質問に対して回答しておこう – MacRuby を iOS アプリケーション開発に使用することは(まだ)できない。現時点では iOS でサポートされていない,Objective-C GC を使用しているためだ。将来的に状況が変わるかどうかは分からない。